
大型で強い台風26号は、三浦半島にも爪痕を残した。各地で土砂崩れが起きたり、道路が冠水したりするなど、交通機関がまひし、朝の通勤、通学者の多くが足止めされた。
京急電鉄や横須賀署によると、16日午前7時55分ごろ、横須賀市安浦町の京急線県立大学駅近くの崖が高さ約5メートル、幅約30メートルにわたって崩れ、土砂混じりの樹木が上り線路に流出。線路を幅約7メートル覆った。
降雨量が規制値を超えたため、始発から品川-金沢文庫間を除き、一部区間は運転を見合わせていたが、午前7時45分に金沢文庫-浦賀間などで運転を再開。直後、下り線を走ってきた電車の運転士が土砂に気付いて通報し、再び運転を見合わせた。
作業員約50人が線路に横たわる樹木を含む土砂を除去し、滑り落ちてきた斜面の擁壁の上に木製の柵を設けて応急処置した。
横須賀市消防局久里浜出張所の観測では、15日の降り始めからの連続雨量が341・5ミリを記録。土砂が崩れた場所から線路を隔てた向かい側に住む鈴木憲吾さん(59)は「(土砂崩れの)音は聞こえなかったが、夜の雨風がすごかった。この辺りは大雨が降ると、斜面から大量の水がしみ出てくる。(過去に)何度か土砂が崩れたのを覚えている」と話した。
午後0時半に全線の上下線が運転を再開。運休、遅延、運転を見合わせた電車は合計約160本に上り、約14万人に影響した。
京急電鉄によると、昨年9月に追浜-京急田浦間で起きた土砂崩れによる脱線事故以後、線路沿いの「急傾斜地崩壊危険区域」などを緊急点検した。だが、今回の崩落は同区域外だったという。同社は「(点検の)判定基準も含めて検討していきたい」としている。
一方、三浦市内では、東京湾に面する金田漁港(同市南下浦町金田)前の高さ約30メートルの崖が幅約15メートルにわたって崩れた。土砂や倒れた樹木のほか、崖の麓にあった人が住んでいない木造の建物が壊れ、隣接する県道をふさいだ。16日は撤去作業が行われ、通行車両は漁港側に回り道する措置を取った。
このほか、南下浦町上宮田の崖が崩れ、隣接する民家の敷地内に土砂が流入したが、けが人はなかった。
【】
