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TICADきょう開幕 真の豊かさとは、「教育と保健こそ大切」南ア出身女性歌手語る/横浜

社会 | 神奈川新聞 | 2013年6月1日(土) 14:22

アフリカの実情を訴えるイボンヌ・チャカチャカさん=横浜市神奈川区のかながわ県民センター
アフリカの実情を訴えるイボンヌ・チャカチャカさん=横浜市神奈川区のかながわ県民センター

第5回アフリカ開発会議(TICAD)が1日から3日間、横浜・みなとみらい21(MM21)地区で開かれる。経済成長が進む「躍動の大地」として世界の関心を集めるアフリカだが、貧困や感染症、紛争の問題がなおも暗い影を落とす。開発や投資だけが支援なのか。かの地が望む本当の豊かさとは何か。横浜に集う関係者は、TICADが新たな希望を見いだす一歩になることを願っている。

アフリカの経済成長や開発を考える場であえて問いたいことがある。「市民への教育と保健なしにアフリカに真の豊かさは訪れるでしょうか」。アフリカを代表する女性歌手、イボンヌ・チャカチャカさん(48)は穏やかな声で言った。

アパルトヘイト(人種隔離)政策が続く南アフリカのスラム街に生まれた。その歌声が差別に苦しむ人々を慰めてきたことから「アフリカの歌姫」と呼ばれる。そんな彼女が深く胸に刻んだ過去がある。

苦楽をともにした女性バンドメンバーの逝去。2004年に遠征先の中部アフリカ、ガボンを訪れ体調を崩した。マラリアだった。

「今なら分かる。彼女は死なずに済んだはずだった。マラリアは防げるし、治せる病気だ。当時は知らないためにどうすることもできなかった」

深い自責が「市民に教育と保健を」の原点となり、歌手活動の傍ら、感染症予防の啓発活動を続けてきた。TICADに合わせて来日したのは、活動の協力を求めるためだった。

経済が発展していくだけの「豊かさ」には首を振る。先進国や大資本が資源開発への投資に走るが、足元の貧困はなくなるどころか格差は広がり続ける。

貧困層の子どもたちは知識を授かる教育の機会を得られず、命を守るはずの予防接種も経済的理由で受けられない。マラリア以外の感染症問題も深刻で、南ア国民のエイズウイルス(HIV)罹患(りかん)率が10%以上との世界保健機関(WHO)の統計もある。

「教育を受けた健康な市民が増えることはアフリカの自立のためだけでなく、良質な労働力として世界の発展にも貢献できるはず」と訴える。

アフリカ市民の「声」を発信する一方、他国の悲しみや孤独にも耳を澄ます。26日には東日本大震災で被災した岩手県釜石市などを訪ねた。笑顔で迎えてくれた被災地の人々の存在に深めた思いがある。

「どんな国、人種、家庭で生まれようが、どんな災害が起ころうが、希望を持って生きていける社会が目指すべき次の世界ではないか。同じ地球に生きる『世界の市民』として連帯を深め、本当の豊かさをともに考えたい」

◆「富の偏在是正を」横浜市大教授訴え

「革新的な資金調達の枠組みを日本でも導入するべきだ」。30日夜、かながわ県民センター(横浜市神奈川区)で開かれたシンポジウムで横浜市立大の上村雄彦教授(国際政治論)は国際連帯税導入の必要性を訴えた。

この税は、航空券や金融取引といった富裕層の活動に課税し、税収を貧困や感染症、気候変動といった地球規模の課題解決に充てる仕組み。フランスや韓国などで実施されている。

上村教授は「世界では飢餓や貧困で6秒に1人の割合で子どもが死亡している」と指摘。解決には全世界の政府開発援助(ODA)を合算しても年間33兆円不足するとし、偏在する富の再分配が必要と強調した。

日本政府は今後5年間で1兆円を超えるODAの拠出をTICAD期間中に表明する方針だが、同税の導入への動きは鈍い。上村教授は「ODAの増額には限界がある。資金調達の新たな枠組みの必要性を共通認識とし、議論を深めてほしい」と話した。

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