
世界文化遺産への登録を目指す「武家の古都・鎌倉」(鎌倉、横浜、逗子市)の推薦書作成に携わった五味文彦・放送大学教授(日本中世史)による講演会が13日、横浜市金沢区長浜の長浜ホールで開かれた。不登録と勧告した国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関からの評価を説明、今後は「世界遺産の基準にとらわれずに価値を高めて」と強調した。
横濱金澤シティガイド協会(宮崎一雄理事長)の主催。構成資産に同区金沢町の称名寺が含まれることから企画され、同協会の会員約70人が参加した。
五味教授は「武家の古都・鎌倉と称名寺」と題して講演。称名寺について「金沢文庫に鎌倉の歴史的価値を証明する書物や文書が現存している」と、「武家の古都」での位置付けを説明した。
不登録勧告の主な理由として「物証の乏しさ」が指摘されたことについては、「物証が少ないことは分かっていたので、称名寺を含めて構成資産に加えた」としたものの、「うまく伝わらなかった」と残念がった。
今後の活動に向け、同教授は「コンセプトを変える手段もあるが、そうなると鎌倉の持っている価値を減じてしまう」と指摘。一方で「(今回の不登録勧告は)もう一度、いろいろなことを根底から考え直すいい機会になった」と受け止め、世界遺産の基準にとらわれず、「武家の古都・鎌倉」の価値を高めていく必要性を訴えた。
【神奈川新聞】