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〈時代の正体〉「法律で差別と闘う」 ヘイト解消法巡りシンポ

社会 | 神奈川新聞 | 2017年4月16日(日) 02:00

差別根絶への道筋を論じたシンポジウム=東京都千代田区、在日本韓国YMCA
差別根絶への道筋を論じたシンポジウム=東京都千代田区、在日本韓国YMCA

【時代の正体取材班=石橋 学】国内初の反人種差別法として昨年施行されたヘイトスピーチ解消法をどう実効化し、差別のない社会の実現につなげていくかをテーマにしたシンポジウムが15日、都内で開かれた。外国人人権法連絡会の主催で人種、障害者、部落差別の撤廃に取り組む関係者が参加し、「法律を武器に差別と闘う」道筋を論じ合った。

 同法の意義について師岡康子弁護士は「ヘイトスピーチの被害の深刻さと害悪を認め、国に解消の責務があると初めて明記した」と解説。ヘイトデモを禁じた仮処分や公園使用不許可など司法、行政の判断を後押しした成果や各自治体で広がる条例作りの動きが川崎市の事例から紹介された。

 人種差別実態調査研究会の明戸隆浩さんは課題を指摘。法務省が実施した初の全国調査で外国人差別が横行している実態が明らかになったが、「差別の一形態であるヘイトスピーチに対処する法律しかない」。川崎で反ヘイト運動に取り組む「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」の山田貴夫さんは差別主義者が3月に公的施設で開いた集会を引き合いに「過激な発言さえしなければ差別の扇動はできてしまう。差別の封じ込めが必要だ」。差別全般を禁じる条例や人種差別撤廃基本法の必要性をそれぞれ説いた。

 在日コリアン3世の金(キム)哲敏(チョルミン)弁護士は「多数者の都合でつくった社会ではどうしても少数者は不利益を被る。少数者の人権擁護の重要性をどう共通認識にしていくかが課題」と問題提起。障害者インターナショナル(DPI)日本会議の佐藤聡さん、部落解放同盟の西島藤彦さんからは、やはり昨年施行された障害者差別解消法、部落差別解消法をてこにした取り組みが紹介され、佐藤さんは「駅のバリアフリー化も法律ができて劇的に進んだ。法をうまく使うことで社会は変わる。社会は多様な人で構成されており、必要な配慮が社会参加と貢献を促し、社会全体を強くする」。相模原の障害者殺傷事件の背景となった差別思想の克服やインターネット上の差別についての対策など共通する課題を見据え、連携した運動の必要性が確認された。

 
 

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