「性的マイノリティー」への見識を深める講座が24日、川崎市宮前区の宮前市民館で開かれた。中学生のころに心と体の性に不一致がみられる性同一性障害と診断された県立川崎高校3年の小林空雅(たかまさ)さん(18)=同市=と、男性同性愛者で牧師の平良愛香さん(44)=相模原市=が講師を務め、多様性に満ちた性について語った。
「男らしさ、女らしさ」といった性の固定観念に生きづらさを感じる人がより自分らしく生きられる社会を目指し、必要な知識を得る場にしようと川崎市教育委員会が主催。約20人が参加した。
「自分が何なのか知りたいから病院に行きたい」。小林さんが診察を申し出たのは中学2年生のころ。自分が男性だというはっきりとした認識はなかったが、セーラー服や女子トイレに違和感を覚えていた。
病院に通い、2年の冬に正式な診断が降り、男子生徒としての生活を始めた。思い悩んだ時期もあったが、カミングアウトをしたときに特別な驚きを見せなかったという母をはじめ、学校の理解や変わらずそばにいた友人に支えられた。
「性同一性障害の空雅」でなく、「小林空雅」という一人の人間として接してくれる仲間の存在が大きいという。ただ、「性同一性障害といっても、当事者の感じ方はそれぞれ違う。一人一人がどういった言動に傷つくのか、ちゃんと聞いてもらえたらと思う」と話した。
平良さんも、同性を恋愛対象として意識するようになった小中学生時代や、初めて友人にカミングアウトをしたときの恐怖などを振り返りつつ、自分で自分の性を認識する「性自認」や、異性や同性、両性など自身の性的意識の方向を表す「性的指向」の多様性を強調。
「セクシュアリティは単純なものではない。一人一人違って素晴らしいということをぜひ知ってほしい」と呼び掛けた。参加者は2人の話に感じ入った様子で耳を傾け、活発に質問や意見を寄せていた。
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