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軟弱地盤で液状化拡大 熊本地震、18市町村で被害

社会 | 神奈川新聞 | 2017年4月9日(日) 11:39

液状化が確認された熊本県内の18市町村
液状化が確認された熊本県内の18市町村

 昨年4月の熊本地震で液状化が発生した宅地や農地などは約6800カ所に上り、本震後に前震時の約5倍に拡大していたことが、関東学院大の若松加寿江教授(都市防災工学)らの調査で分かった。最初に震度7を記録した前震で激しく揺さぶられた軟弱地盤が、約28時間後の本震でさらに緩んだためとみられる。熊本県沿岸に東京湾岸のような埋め立て地はほぼないものの、被害は阿蘇山麓を含む県内18市町村に及んでおり、内陸や山間部でも地盤の状況によっては液状化のリスクが高いことが浮き彫りになった。

 若松教授は防災科学技術研究所の先名重樹主幹研究員らと今年3月にかけて現地調査を重ねるとともに、前震翌日の昨年4月15日に撮影された衛星写真などを解析。液状化の特徴である地下からの「噴砂」の痕跡から被害の全体像を把握しつつ、各地点が液状化した時期を絞り込んだ。

 調査の結果、同4月14日に同県益城町で震度7を観測したマグニチュード(M)6・5の前震により、熊本市内を中心に約1300カ所が液状化していたことが判明。同町と西原村で震度7となった同4月16日の本震(M7・3)では、前震で液状化がみられなかった阿蘇地域を含む約6800カ所に拡大していた。前震で確認された約1300カ所は本震で「再液状化」し、噴砂の量や範囲が拡大するなど被害や影響が深刻化していたという。

 解析の結果、液状化が確認された地点は、一部を除き推定震度5強以上の場所だった。ただ、強い揺れに見舞われた地域で一様に液状化が起きるのではなく、地盤条件や土地の履歴などによって状況は大きく異なっていた。

 住宅地の被害が目立った熊本市では、街道沿いの南北約7キロにわたって噴砂がみられた。「液状化の帯」とも呼ばれたが、「この一帯は河川が運んできた砂が堆積し、地下水位が高いため、液状化が起きやすかった」と若松教授は分析。また、川沿いで近接する2カ所の住宅地では、液状化による地盤沈下や家屋傾斜の有無が分かれ、「造成前の土地の状況や造成方法の違いが影響した可能性が高い」とみている。

 このほか、熊本市の南側に位置する嘉島町の大規模商業施設は、駐車場など敷地の一部のみ液状化していたが、過去に砂利を採取していた場所だったことが判明。阿蘇市や南阿蘇村では、火山灰質の砂が堆積した地域を中心に約2200カ所が液状化し、全体の3分の1近くを占めた。農地やビニールハウス、農道などが損壊し、基幹産業の農業に大きな打撃を与えていた。

 若松教授は「液状化は埋め立て地で発生するイメージが強いかもしれないが、自然地盤でも起きるということを認識しておくべきだ」と警鐘を鳴らす。

 東日本大震災では、震度5強となった横浜市内で住宅地やマンションに液状化の被害が発生。川崎市の臨海部でも液状化がみられ、若松教授らの調査によって茅ケ崎、平塚市内も発生が確認されている。

 
 

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