
売却が進まずに多額の借金を生み、三浦市の財政を圧迫している二町谷埋め立て地(同市三崎)について考える市民討議会が11日、同市で開かれる。主催するのは、三浦青年会議所(JC)と市でつくる実行委員会。討議会で市固有の課題を扱うのは初めてとなり、主催者は「多くの方が問題意識を持つきっかけにしたい」と意気込む。
二町谷埋め立て地は水産業の振興を目的に、県や市土地開発公社などが1996年から埋め立てを始め、2007年に売却を開始した。ただ、工事が長期化したことなどから計画の策定時と環境が変わり、進出する企業は現れないまま借金だけが増加。市は10年に公社を解散し、負債を肩代わりするために約105億円を起債することとなった。起債額は今後30年かけて償還していく予定だが、埋め立て地は現状でも売却のめどは立っておらず、大きな課題となっている。
三浦JCは08年から毎年、無作為に選んだ市民から参加者を募って一つのテーマについて話し合う討議会を開催。これまで防災やごみ減量のための取り組みなどを扱ってきたが、市が抱える特定の課題には踏み込んでこなかった。今回、市の将来を左右しかねないのに、市民に十分に問題が共有されていない危機感から、二町谷埋め立て地をテーマに選んだ。
市の協力で16歳以上の市民千人に案内状を発送。募集はすでに締め切り、20人から参加の申し込みがあった。参加者にはJCから4千円の手当を支払うが、想定していた30人には届かず、市民の関心が高まっていない実態があらためて浮き彫りになった。
当日は資料をもとに埋め立て地の概要を説明し、現地を見学。その後、4~5人のグループに分かれ、提言をまとめる。会は非公開だが、提言は市に提出するほか、三浦JCのホームページでも公開する予定。
実行委の蛭田健委員長(30)は「二町谷は八方ふさがりな状態なのに、JC内部でも知らないメンバーがいる。財政がさらに悪化する前に、多くの人に考えてもらいたい」と話している。
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