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広がれ液体ミルク 国内解禁へ厚労省議論スタート

社会 | 神奈川新聞 | 2017年3月31日(金) 14:38

海外メーカーの液体ミルクを手にする篠宮さん=川崎市
海外メーカーの液体ミルクを手にする篠宮さん=川崎市

 子育て世代の願いがかなう最初のステップに-。法令が未整備のため国内で流通していない乳児用液体ミルクを巡り、政府は31日、国内解禁に向けた安全基準のあり方に関する議論をスタートさせる。「日常の負担を減らし、災害時は赤ちゃんの命をつなぐ。一日も早く身近な商品に」。有用性を訴えて4万人超の署名を集めるなどした「乳児用液体ミルクプロジェクト」のメンバーは、本格的な議論開始が普及の道を開く第一歩にと、期待を寄せる。

 「自分が子育てする時、より良い環境ができていてほしい。高校生でもできることをやりたかった」

 洗足学園高校3年の篠宮芽衣さん(18)=川崎市宮前区=がプロジェクトに加わったきっかけは、昨年4月の熊本地震。緊急支援物資でフィンランドから届いた5千パックの液体ミルクが重宝したと知った。避難生活で調乳やほ乳瓶を洗うきれいな水を確保することがどれほど大変か…。将来の自分に重ねて国内の現状を調べていたとき、代表理事の主婦末永恵理さん(37)=横浜市鶴見区=の活動を知った。

 3歳から10歳までシンガポールで暮らし、「海外のママが当たり前に使えているものが、日本で使えないのはおかしい」との思いも抱いていた。昨夏は得意の英語を生かし、北欧や米国など20カ国の大使館を通じて各国の流通状況を調査。集まったデータは乳業メーカー訪問時や政府の会合で提示し、「海外でどれほど広く使われているか、説得力をもって伝えられた」。

 9月からは米国の大学に留学予定。「米国のメーカー訪問や利用者の生の声を聞き、日本に届けたい」。末永さんに「頼りになるリサーチ部隊」と肩をたたかれ、照れ笑いを浮かべる。


液体ミルクの普及を目指す杉本さん=横浜市港北区
液体ミルクの普及を目指す杉本さん=横浜市港北区

 男性の声を代弁するのは、約4年間米国で暮らした横浜市港北区の薬剤師杉本修康さん(29)。ロサンゼルスの街で見掛けた家族は、母乳や液体ミルクなどを状況に応じて選択し、外出先のスーパーやドラッグストアで気軽に調達していた。「日本に持ち帰る方法はないか」。現地乳業メーカーに相談を重ねたものの、法の未整備が障害となってかなわなかった。

 なぜ独身男性が興味を? 活動中によく聞かれる質問には、「子育てに性別は関係ないですよね」と言い切る。政府が議論を始めるなど「液体ミルクって良いらしいね」との声が広がっていると実感する。「メーカーが本格的に製造に取り組めるよう、政府や自治体も支援すべき」

 厚生労働省が31日に開く薬事食品衛生審議会は、製品化に向けた規格基準などを議論する。末永さんらメンバーの期待は大きい。「育児真っ最中のママだけでなく、社会全体で子育て環境をより良くしていきたい」

 
 

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