公社の日本国有鉄道が六つの旅客会社と一つの貨物会社に分割、民営化されて4月1日で30年となる。その意味を地域から考える。
JR横須賀駅に鉄道ファンがひしめき合っていた。昨年5月のことだ。カメラを向けたその先に赤、クリーム色のツートンカラーの特急電車「485系」が車体を横たえていた。かつて札幌から鹿児島までを駆け巡った「国鉄特急」の代表的存在。その引退が近いことは、この日の臨時運行を目当てに集まった人のほとんどが知っていただろう。
「複雑な思いですね」。横浜市に住む国鉄OBは言う。国鉄民営化から30年を経てもなお、人気は「国鉄型」に集中する。当時を知らない若いファンも地方路線などに残された国鉄車両を追い掛ける。そんな「需要」を見越してか、JR自身が「懐かしの国鉄」と銘打ったイベント列車を各地で走らせるほどだ。
「JRは国鉄の名残を一掃してきたはずなんだけれど…」。経営判断への国会の関与と政治介入、過大な設備投資、それらに伴う巨…