箱根山・大涌谷(箱根町)の火山活動活発化に備え、箱根温泉旅館ホテル協同組合は29日、「火山噴火対応マニュアル」を策定したと発表した。観光客への情報伝達や避難誘導方法など具体策を盛り込み、加盟する町内98宿泊施設に5月末までに配布する。旅館やホテルを対象とした本格的な火山対応マニュアルは国内初という。
突発的噴火や噴火警戒レベル引き上げに伴う立ち入り規制が敷かれた場合などに、宿泊施設が講じるべき対応策を明記した。各施設は統括責任者を任命し、噴火状況や交通機関の運行情報を伝える「情報班」、避難場所への誘導や呼び掛けを行う「避難誘導班」を設置するとしている。
また、夜間の対応策や誘導時のアナウンス例、予約客や旅行会社などへの正確な情報提供による風評被害防止策も列挙。想定火口域からの距離や一次避難場所、最繁忙期の避難誘導者数などを各施設が書き込める形とし、役割の明確化や訓練に役立てる。
県や町、気象庁などで組織する箱根山火山防災協議会が昨春まとめた「大涌谷周辺の観光客等の避難誘導マニュアル」、前身の箱根火山防災協議会が一昨年に策定した「箱根山(大涌谷)火山避難計画」を補完する形で具体策を盛り込み、JTB総合研究所に委託して策定した。
同組合は火山災害の留意点などを明記した計画を備えていたが、一昨年の火山活動活発化を受けて検討を重ねていた。