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丹沢のシカ食用を模索、捕獲数増えて環境被害深刻化を受け/神奈川

社会 | 神奈川新聞 | 2012年7月2日(月) 11:17

ジビエ料理の可能性などについて意見を交わした研究会の初会合=6月13日、開成町吉田島の県足柄上合同庁舎
ジビエ料理の可能性などについて意見を交わした研究会の初会合=6月13日、開成町吉田島の県足柄上合同庁舎

ニホンジカの食害などによる自然環境の悪化が進む丹沢周辺で、捕獲したシカを食肉として活用しようという取り組みが始まった。野生鳥獣の肉を使った「ジビエ料理」の可能性を他県の先進事例に学ぼうと、県の研究会が6月に初会合。過去最大規模の管理捕獲が丹沢でスタートし、食肉加工施設の建設を探る動きも出てきたが、実現には課題とともに慎重さを求める声もある。

県自然環境保全センターによると、丹沢周辺に生息するシカは3千~5500頭に上る。個体数が多い状態は10年ほど前から続いており、シカによる農作物被害やブナ林の荒廃などが深刻化している。

県は今年3月にまとめた第2期丹沢大山自然再生計画の中で、シカ対策を重点課題の一つと位置付け、個体数の調整や植生回復による生息環境の整備、防除対策―の3点を柱とした第3次県ニホンジカ保護管理計画を4月から実行。本年度は過去最大規模の750頭を目標に管理捕獲に乗り出している。

同時に県は、捕獲後のシカを食肉として活用する道を模索。6月13日に開成町の県足柄上合同庁舎で「丹沢ジビエ研究会」の初会合を開いた。秦野市や松田町などの地元自治体や農協関係者らと衛生面の基準や課題を学び、先進地の視察などを含め年間に数回の会合を開いていくことを申し合わせた。

まちおこしも期待して、野生のシカやイノシシなどの肉を高級食材や特産品にしようとの動きは、全国的に広がりを見せている。静岡や長野、和歌山などで既に取り組まれ、5月にはシェフや旅行会社などが「日本ジビエ振興協議会」を設立した。今後、肉の解体や調理法などのセミナーを開催していくという。

神奈川の試みも、こうした流れに乗ることを狙ったものだが、課題は少なくない。

シカなどの野生動物を食用にする場合、菌の繁殖を抑えるなどの理由で捕獲から2時間以内に食肉処理する必要がある。しかし、県内は加工施設がないため、東京や山梨の施設に運ばなければならず、時間内に処理することは実質的に不可能という。

このため松田町が町内に加工施設の適地を探し、県に整備を働き掛けているものの、そもそも県内の捕獲頭数は北海道や長野などより少なく、安定供給が難しいとの見方も。現状でもシカの肉をメニューとして提供する宿泊施設が一部にあるが、本格的に食用とすることに対する抵抗感や密漁を懸念する声も出ている。

前身の団体を含め、半世紀にわたりシカの問題などに取り組んでいるNPO法人丹沢自然保護協会の中村道也理事長は「かつて丹沢のシカは少なく、保護されていた。次々と木を切り倒した高度成長期以降、草原が広がり、里山が失われていった結果、シカが増えたいきさつもある。(食肉とする今回の取り組みは)慎重に進めてほしい」と話している。

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