東海地震予知の見直しを検討する政府・中央防災会議作業部会は24日、代替案の新たな「予測情報」の生かし方について議論した。津波が見込まれる地域では高齢者らの避難をいち早く開始するなど、状況に応じた段階的な防災対応が必要との認識でほぼ一致した。
大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づく現行の予知体制では、東海地震の恐れが高まると首相が警戒宣言を発表。静岡や神奈川などで住民の避難や交通規制などが実施されるが、現在の科学では確実な予知は不可能との見方が強い。
こうした状況を受け、昨秋に議論を開始した作業部会は、不確実だが地震の可能性が高まっている状況を予測情報として知らせる方向で検討。予測の対象をより広範な南海トラフの地震に拡大する方針だ。
4回目となったこの日の部会では、予測情報を出した段階で地震の発生が近いかどうかの「切迫度」と、海岸からの距離や標高、避難施設の有無、住民の状況といった地域ごとの「脆弱(ぜいじゃく)性」を考慮した上で取るべき対応を段階的に定める案を公表。津波到達までの時間が短い沿岸部では高齢者や子どもの避難を早めに開始し、ある程度の猶予がある地域は避難場所や備蓄の確認にとどめるといった例も示した。
委員の1人、尾崎正直高知県知事は「大枠として賛成だが、何をもって切迫度を判断するか。詰めていくとかなり難しいのでは」と指摘。予測情報後の避難や警戒が長期化した場合の対応の難しさも課題に挙げられた。