
再生エネルギーによる電力の買い取りを電力会社に義務付ける「固定価格買い取り制度」のスタートを7月に控え、太陽光発電をめぐる動きが活発化してきた。電力会社に売るために中小企業が大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設したり、工場や住宅で太陽光パネルの設置を検討したりと、新たな市場に熱い視線を注いでいる。
◆メガソーラー
電気設備工事の窪倉電設(横浜市港北区)は、発電能力1メガワットのメガソーラーを新潟県燕市で8月末に稼働させる。計画地は約4万平方メートル。7200枚の太陽光パネルの発電量は96・1万キロワッ
ト時を想定し東北電力に売電する。
同社の100%子会社「PVP JAPAN」(燕市)は5月に同市と協定を締結した。PVP社長を務める窪倉敏専務は「これまでの豊富な実績と、季節に応じて太陽光パネルの角度が調整できる架台が評価
された」。燕市も「雪国対応がなされたメガソーラーが燕市から全国に普及してほしい」と期待する。
◆工場や住宅も
売電を目的に、工場や住宅に太陽光パネルを設置する動きも始まった。工場などの屋上に設置を検討している塗装機メーカー大手アネスト岩田(横浜市港北区)は「全量を買ってもらって、うちで使用する分は
東京電力から買うことで(エネルギーコストを)相殺したい」(飯田紀之取締役)ともくろむ。
住宅での太陽光発電をめぐっては、自宅などで使う量を上回った余剰電力を一定価格で10年間売電できる「余剰電力買い取り制度」が整備されている。新制度でも継続する方針が固まったことに、住宅資材卸の
ナイス(横浜市鶴見区)は「さらなる普及促進を図ろうとする国の意向が感じられる」(広報室)と話し、追い風になるとみる。
◆商機をつかめ
太陽光発電を手掛ける大手エンジニアリング業界は総合力を発揮して商機をつかむ考え。JFEエンジニアリングは、横浜市鶴見区の横浜本社に太陽発電の最先端技術を集結した「ソーラーテクノパーク」を開
設。併せて、部署ごとに分かれていた再生可能エネルギーの関連技術を一元的に集約する電力創生プロジェクトチームを設立した。
千代田化工建設(横浜市西区)はメガソーラーの設計から調達、建設まで一括した受注体制を強化し、新規案件に迅速に対応することにしている。
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