
絶滅の恐れがあるウンピョウの国内初の人工授精が31日、よこはま動物園ズーラシア(横浜市旭区)で行われた。2007年以降、国内では自然繁殖に成功しておらず、受精すれば3カ月後に出産する予定。
ズーラシアによると、ウンピョウはネコ科の動物で、ヒョウに似ているが体長62~107センチ、体重16~32キロと小型。ネパール東部から中国南部などに分布し、絶滅危惧2類に指定されている。国内にいる11頭のうち7頭をズーラシアで飼育している。
人工授精は神戸大学が協力して行われた。イギリス生まれの9歳の雌「アニル」に卵子の発育と排卵を誘発するホルモン剤を事前に投与。この日、同園生まれの8歳の雄「ショウ」に麻酔をかけ、電気的刺激を与えて採取した精子と、冷凍保存しておいた7歳の別の雄「ジュール」の精子を混ぜ合わせて、麻酔をかけたアニルに注射器で注入した。同大学の楠比呂志准教授(50)によると「異なる精子を混ぜ合わせることで競争力が高まり、受精しやすくなる」という。
妊娠期間は90~95日。妊娠の成否は2カ月後の検査で判明する。どちらが父親かは、出産後にDNA鑑定で判別する。
同園動物課飼育展示係ウンピョウ担当の小林智男さん(28)は「自然に増えるのがベストだが、野生のウンピョウは減ってきている。なんとか子どもを授かってほしい」と願いを込めていた。
【】