
負げねっちゃ 諦めねっちゃ 生ぎるっちゃ―。東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県名取市の人たちの思いを五七五にした句集「負げねっちゃ」を、鎌倉市雪ノ下の出版社「銀の鈴社」が発行した。名取市の団体がまとめた句集を読み「多くの人に知ってもらいたい」と発行。印刷も名取市の工場で行うことで、継続的な支援を目指す。
あぎらめねぇ 生まれた町は 捨てらんね
流されだ がが(妻)ど築いだ 思い出も
収録されているのは、地震や津波、避難所生活や未来への希望をうたった135句。名取市の「方言を語り残そう会」が、「被災のありのままの気持ちと心の叫びを形に残したい」と被災者から句を募り、句集を自費出版した。
銀の鈴社の西野真由美社長は句集を昨秋の報道で知り、目を通した。それまでも手作りバッグや絵本を送っており、継続して支援したいと考えていた。「句集には、方言ならではの力があった。逆にこちらが希望をもらえた。被災地への“施し”ではない。力がある作品だ」
同社は学校や図書館などに納入ルートを持つ。方言を語り残そう会に働きかけ、発行が実現した。方言の一部には注釈も付した。
地元経済の活性化につなげようと、名取市の工場で印刷。今年3月末に販売を開始した。A7という手のひらサイズには、手から手に伝えたいとの思いを込めた。「句集には、踏ん張る力が詰まっている。手に取った人がその力を受け取って、日常の一歩にしてくれれば」と西野社長は話す。
525円で、配送や書店での注文も可。また、30日まで同社の「銀の鈴ギャラリー」で句の一部を展示している(午前10時~午後5時、入場無料)。問い合わせは同社電話0467(61)1930。
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