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噺家に“主役”の場を、「銭湯寄席」10年目に/横浜

社会 | 神奈川新聞 | 2012年4月29日(日) 11:10

昨年、開催50回目を達成した際の記念撮影=横浜市神奈川区の千代田湯
昨年、開催50回目を達成した際の記念撮影=横浜市神奈川区の千代田湯

お湯と一緒に笑いもどうぞ―。横浜市神奈川区、六角橋商店街の千代田湯が「銭湯寄席」を始めてことしで10年目になる。高座に上がる落語家は、真打ちになる前の「二つ目」だけ。“主役”となる機会が少ない二つ目に経験の場を提供し、4月にはここから2人目の真打ちが誕生した。2カ月に1度の開催は、次の5月18日で54回目を迎える。

会場は女湯だ。脱衣所のロッカーを浴場に移し、座布団を敷く。普段は番台に座る開発勝二さん(75)が作務衣(さむえ)に着替え、「席主」としてあいさつに立つ。出ばやしとともに、男湯から落語家が登場する。

「レギュラーは6人。毎回、そのうちの2人が二つずつ話をします」。黒光りする番台に、富士山のペンキ絵。昭和の風情が薫る社交場には、おとぼけの落とし話も、ほろりと泣ける人情話もよく似合う。

50年の歴史を持つ千代田湯が寄席を始めたのは、2003年7月。「近所でやっていた寄席を見に行ったら、『二つ目は話す場がない』と聞いてね」。ならば、うちには十分な広さがあるよと持ち掛けた。「それに、もともと落語はきらいじゃなかったしね」。都内で過ごした学生時代、授業をサボっては新宿の「末廣亭」に通っていた。

寄席の後には「囲む会」も開かれる。おかみの富喜子さん(73)は、料理の準備など裏方として支える。「最初はみんな下手で、胸がキューッとなる。息子の成長を見ているよう」。最近では客の目も肥えてきた。「あの人はうまくならないねえ」。そんな声も聞こえてくるという。

今春真打ちに昇進した瀧川鯉橋さんは、開始当初からの常連だった。「お客さんとの距離が近いし、携帯電話が鳴ったり、風呂に入るつもりの人が来たり、いろんなハプニングが起きる。それで落語家としての瞬発力や反射神経が鍛えられた。貴重な場でした」。昇進記念パーティーにはもちろん勝二さんも招待した。

真打ちになったら、千代田湯は卒業だ。「うれしい半面、さみしいね」。次は誰だろう。あいつはまだかな。少し感傷的になる。「でも、また若い噺家(はなしか)さんが入って来てね。元気がいっぱいなのはいいけど、まだ味付けがね…」。高い天井に、夫妻の笑い声が響いた。

次回は5月18日午後7時開演。料金は800円(前売り700円)。問い合わせは、千代田湯電話045(432)2783。

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席主と書かれた「めくり」をうれしそうに手にする勝二さん
席主と書かれた「めくり」をうれしそうに手にする勝二さん

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