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在日米軍再編
岩国移駐・銀翼の塒(3)異例の国策事業、救済か懐柔か

社会 | 神奈川新聞 | 2017年3月21日(火) 09:45

 周到な筋書きを疑わせるほど、その展開はあまりにも出来過ぎていた。

 パイロットは米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)を飛び立った直後、東方海上に急激な旋回を続けた。滑走路延長に集積する石油コンビナート上空の飛行を回避するためだ。航空ファンは、戦闘機本来の機動性を発揮する「岩国上がり」ともてはやした。

 半面、激しい騒音と墜落のリスクを伴った。国は1960年代からの住民の要望を聞き入れ、1992年に滑走路を1キロ沖合に移設する方針を決めた。

岡村寛さんの背後で7月完成予定の野球場建設が進む。切り崩された愛宕山で続ける座り込みの抗議に6年半で延べ8450人が参加した =2016年12月、山口県岩国市
岡村寛さんの背後で7月完成予定の野球場建設が進む。切り崩された愛宕山で続ける座り込みの抗議に6年半で延べ8450人が参加した =2016年12月、山口県岩国市

 埋め立てに、基地西方3キロにそびえる愛宕山の開発残土があてがわれた。標高120メートルの丘陵は中腹まで切り崩され、跡地は5600人規模のニュータウンが構想された。

 県と市によるこの事業は、地価下落と住宅需要の低迷で数百億円規模の赤字が見込まれ、2009年に頓挫する。日米が在日米軍再編に合意すると、国は2012年に一帯の4分の3に当たる75ヘクタールを買い取り、米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)から転居する米軍家族の住宅用地(262戸)に転用した。

 2010年に運用が始まった沖合移設後の新滑走路は、厚木から移駐する空母艦載機の受け皿となった。

 「初めから仕組まれていたのだろう」。米軍住宅の建設…

 
 

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