
10年前から親交がある横須賀市と新潟県村松町(現・五泉市)の交流のきっかけをつくった「忠犬タマ公」の慰霊祭が29日、横須賀市小矢部の衣笠山公園で行われた。2011年度で閉校する五泉市立川内小学校の子どもたちも新潟から訪れ、横須賀と地元をつなぐタマ公に思いをはせた。
村松町で飼われていたタマは、1934(昭和9)年と36(同11)年、狩猟に出掛けた先の同地の山あいで雪崩に巻き込まれた飼い主を2度にわたって救ったことで知られる雌のシバイヌ。
飼い主を思うタマの行為は当時の新聞やラジオで取り上げられ、横須賀市内でも評判になり、話に感激した新潟出身の横須賀市民らが同年、同公園に石碑を建てた。慰霊祭は、同公園で開かれる「衣笠さくら祭」(衣笠観光協会主催)の山開き式に合わせて毎年行われている。
交流の始まりは10年前。村松町の小学生が、タマを題材にしたミュージカルを演じる旨を伝える手紙を当時の小泉純一郎首相に送ったことがきっかけで、同首相が子どもたちを横須賀に招待。以来、両市町の住民らが相互訪問や物産展を通じて交流を深め、06年に同町が五泉市と合併して以降も親交を続けている。
「交流の原点を忘れないために」と、児童数の減少に伴い新年度から他校と合併する川内小の4~6年生計32人も慰霊祭に参加。4月に中学生になる児童(12)ら子どもたちは「タマ公がつくった縁で横須賀に来られてうれしい。たくさんの人に勇敢なタマ公のことを知ってほしい」と話していた。
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