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在日米軍再編
銀翼の塒・岩国移駐(1)「地元のゴーサイン」うかがう国

社会 | 神奈川新聞 | 2017年3月19日(日) 10:24

 米海軍横須賀基地(横須賀市)に配備された原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機部隊を、厚木基地から岩国基地に移駐させる米軍再編が迫る。国策と地方自治のはざまで葛藤する岩国の近況を、6回にわたって報告する。


オバマ米前大統領は「岩国は両国の信頼、協力、そして友好関係を示す好例だ」と日米隊員を激励した=2016年5月27日、岩国基地(共同)
オバマ米前大統領は「岩国は両国の信頼、協力、そして友好関係を示す好例だ」と日米隊員を激励した=2016年5月27日、岩国基地(共同)

 米大統領のバラク・オバマ(55)は、海兵隊岩国基地(山口県)に駐機する専用機のタラップ下で歩みを止めた。出迎えた岩国市長の福田良彦(46)を引き寄せ、ほほ笑みながら握手を交わす。「岩国市民に感謝しています」。2016年5月27日、そのまま被爆地・広島に向かった。

 米軍最高司令官の大統領が極東の前線部隊を激励したこの1時間余りで、岩国基地の枢要は「決定づけられた」と、防衛省幹部は確信した。格納庫を埋めた日米の3000人に対するスピーチは、アジア・太平洋地域の安全保障を重視し、さらに士気を高めた。「最も強固な日米同盟が、ここ岩国でまさに示されている」

 在日米軍司令官のジェリー・マルティネスは、ドナルド・トランプ政権移行後も「強固な日米関係は揺るがない」と言い切る。軍事的緊張が高まる東アジアで岩国は地政学上、「戦略的な位置にある」とも強調した。

 日米が在日米軍再編に合意した2006以降、岩国への航空戦力の一極化が進む。2014年に普天間飛行場(沖縄県)のKC130空中給油機15機と軍人ら約870人を受け入れ、ことし1月にF35B最新鋭ステルス戦闘機が現行機との交代で米国外で初めて配備された。


米軍岩国基地に着陸するF35最新鋭ステルス戦闘機。米軍が海外に配備するのは初=1月18日午後5時27分、山口県岩国市(共同)
米軍岩国基地に着陸するF35最新鋭ステルス戦闘機。米軍が海外に配備するのは初=1月18日午後5時27分、山口県岩国市(共同)

 そして、再編の最終工程に待ち受ける米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)の空母艦載機移駐が、ことし7月にも始まる。2018年5月と見込まれる完了後、岩国の米軍機は130機前後に倍増し、嘉手納基地(沖縄県)を上回る見通しだ。「極東で有数の基地になる」。官房長官の菅義偉(68)が2014年に語った展望は、現実になろうとしている。

 岩国市と山口県は、移駐に伴う安心・安全対策と地域振興策の協議を前提に、受け入れは「容認前」との態度を貫く。ただ、5000億円近い防衛予算が投じられた市内の施設整備は佳境を過ぎ、司令部庁舎と住環境の完成を残すばかりだ。

 「もう後戻りはできないだろう」。受け入れ側を刺激しまいと、岩国基地を非公式に視察した厚木基地の周辺市幹部は、出入りする1日延べ1万2000人の建設業者を目の当たりにして確信した。格納庫に、「CVW-5」の看板があった。厚木の艦載機部隊が所属する第5空母航空団の略称だった。

 政権幹部は「海軍と海兵隊の前方展開能力が同一基地で柔軟に運用できるようになる」と前のめりだ。防衛省幹部は言う。「あとは、地元のゴーサインを待つのみだ」

=敬称略

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