

【文化部=斉藤 大起】大学の軍事研究を巡るシンポジウムが18日夜、東京都千代田区の法政大で開かれ約60人が参加した。軍事転用可能な基礎研究に対する防衛省の助成が2017年度に前年度比18倍となる110億円と大幅に増額されたことを踏まえ同大が主催。同省が目指す技術のデュアルユース(軍民両用)の危うさが指摘された。
同大は今年1月に「武器・防衛装備品の開発、またはそれへの転用を目的とした研究」を行わないとする指針を定めた。その背景について、増田正人常務理事は、武器輸出三原則の転換や安全保障関連法の制定などを挙げ「大学の研究が直接、人をあやめることがあり得ることが現実になってきた」と説明した。
日本学術会議の「安全保障と学術に関する検討委員会」の委員長を務める杉田敦法学部教授は、同省の助成が研究への政治介入を招くとの懸念を盛り込み、4月に採択を目指す同会議の声明案を解説。「研究成果が公開されない不安があり、学術の健全な発展とはいえない」と指摘した。
田中優子総長は、同省が利点を強調するデュアルユースについて「ごまかしの言葉で、防衛省は明確に軍事利用を目指している」と指摘。原発事故を念頭に「私たちは既に原子力の平和利用という言葉の意味を学んだ」と述べた。