
登山人気が続く中、家族が山で遭難し、警察や消防の捜索でも見つからなかったら…。生存は絶望的でも、なんとか見つけ出したいと願う家族の依頼で捜索する民間グループがある。東京都青梅市拠点の山岳遭難捜索チームLiSS(リス)。代表で看護師の中村富士美さん(45)=同市=が、丹沢や奥多摩などでの捜索の実例を著書「『おかえり』と言える、その日まで 山岳遭難捜索の現場から」(159ページ)にまとめ新潮社から発行した。
青梅市内の病院の救命救急センターで看護師として働き、登山経験がなかった中村さんだが、2012年に山に詳しい知人と訪れた奥多摩で、立て続けに2件の遭難者の遺体を発見。これを機に山岳遭難捜索に関わるようになった。
18年に発足したLiSSのメンバーは医療関係者や自営業者、山岳ガイドら10人ほど。本業の傍ら捜索に携わる。21年までの4年間で29件の依頼を受けた。「6~7割は見つかる」と中村さん。公的捜索で見つからなかったケースが多いだけに、驚異的な発見率といえる。同様の活動は全国的にも珍しい。
足取り推測「何かがおかしい…」
丹沢・奥多摩の捜索実例、著書に 山岳捜索チームの看護師
山岳遭難捜索の実例を紹介した著書 [写真番号:1162829]
登攀具を身に着けた中村富士美さん [写真番号:1162830]