
衆院憲法審査会が毎週開かれるなど、国会で進む改憲の動き。政治の強引さに対する危機感から、参院議員会館で今月18日、現在の改憲論議の問題点を考える集会が開かれた(「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と「改憲問題対策法律家6団体連絡会」の共催)。登壇した東海大学の永山茂樹教授は議員の任期延長や、国民の自由と権利の制限を盛り込む緊急事態条項の危険性に警鐘を鳴らした。(構成・柏尾 安希子)
国民置いてきぼり
衆参の憲法審査会では現在、「議員任期延長改憲」が大流行し、毎回話し合っている。緊急時や災害時といった緊急事態で選挙ができず、任期が切れたら困るので伸ばすという。選挙延期もセットだ。
だが主権者である国民の意識は、そこに向いているか。複数の新聞社の世論調査では、安全保障に関する9条改憲に比べ、緊急事態に関する改憲を求める声はむしろ低い。9条より穏やかだと思うのか、国会ではさまざまな議員が任期延長を主張する一方、国民側では9条より関心が低く、ギャップがある。国民を置いてきぼりにして国会で議論していると感じる。
衆院憲法審で昨年12月、自民党から要請を受けた衆院法制局が、「議員任期延長改憲」が決まったものであるかのように、各会派の主張を「論点整理」としてまとめ、発表した。全会派の合意に基づいて議論を進めるのが憲法審の原則で、論点整理も同様だが、急ぐ議員らの判断で合意がないまま示された。
改憲実現に向け、なりふり構わない傾向が出てきている。勝手に一覧表を発表し、あたかも既成事実であるかのような雰囲気づくりを進めるのはおかしいと立憲民主党や共産党は怒ったが、私もそう思う。国民抜きの改憲運動だ。