
防衛力強化を目的に、岸田文雄政権は昨年12月、新たな「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を閣議決定した。憲法学が専門の青井未帆・学習院大教授は、国会での議論を経ずに安保政策を大転換したことに「憲法、国会の軽視が甚だしい」と岸田政権を批判。23日に開会した通常国会で、軍拡方針そのものへの徹底した議論を求めている。(構成・柏尾 安希子)
安保関連3文書に対しては「ここまで来てしまったか」というのが率直な感想だ。「平和国家」という言い方はしているが、「反撃能力」はまさに先制攻撃になり得る。集団的自衛権の行使を閣議決定で容認した2014年以前は、自国が攻撃された際に反撃するという理屈だったが、今回の文書では他国防衛のために先制的に攻撃することすらできてしまう。これが容認以降の動きの帰結なのだろう。