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新型コロナ国内初確認から3年
「武漢滞在」で直感 初の感染者受け入れた相模原の病院長

社会 | 神奈川新聞 | 2023年1月15日(日) 04:45

国内初の新型コロナ患者が入院した移転前の旧相模原協同病院(同病院提供)

 新型コロナウイルス感染症の患者が国内で初めて確認されてから15日で3年を迎えた。全国で初めてコロナ患者の入院治療に当たった相模原協同病院(相模原市緑区)の井関治和病院長(63)は「当時は十分な情報がない中で、新興感染症を疑って医師や看護師が医療者としての使命感を持って対応した。精神的負担が大きかったが、早期の感染判明につながってよかった」と振り返った。感染の早期収束を願うとともに「今後も新興感染症は増えるだろう。警戒のアンテナを高く張ることが必要だ」と訴える。

 「昨年末、武漢に行って戻ってきたが、せきや熱の症状が続いている」

 2020年1月10日昼すぎ、一本の電話が同病院にかかってきた。症状を訴えたのは、6日に中国から帰国したという県内に住む30代の中国人男性。井関病院長は「新型コロナに間違いない」と直感したという。

国内で感染が確認された初期の旧相模原協同病院内の様子。現在は別の場所に移転している=2020年(同病院提供)

 19年末からテレビの国際ニュースで中国・湖北省武漢市の状況が報道されており、この日の朝には全職員向けに「救急外来で渡航歴のある人には注意してください」などとメッセージを発信したばかりだった。「近いうちに日本でも患者が確認されるかもしれないと思っていたが、『早速来たか』と驚いた」。同病院は市内唯一の第2種感染症指定医療機関で、「うちで受け入れざるを得ない」とすぐさま覚悟を決めた。

 10日時点で中国国外における感染者は正式に確認されていなかった。日本では検査方法も確立されておらず、厚生労働省は「人から人への感染は確認されていない」と説明していた。

 男性には胸部エックス線検査で軽い肺炎像が確認されたものの、通常の肺炎であれば軽症で入院は不要だったという。すぐに市の保健所や国立感染症研究所に問い合わせをしたが「まだ指定感染症になっていないので、入院の判断は病院にお任せします」との回答しか得られず、陽性の場合に備えて6床ある隔離病棟に入院してもらった。14日になって感染研から「PCR検査が可能になった」と連絡を受け、念のためにと採取していた検体を送付。最初の検査では「陰性」とされたが、再検査で15日に陽性と判明。国内初の感染確認だった。

国内初感染の男性はその後…【下に表:新型コロナ初確認を巡る主な経緯】

 
 

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