
妊娠や出産を望まない人の権利を求め、声を上げる20代の活動家たちがいる。安全でアクセスしやすい避妊・中絶の選択肢を増やそうと呼びかけている「もっと安全な中絶をアクション」メンバーで、横浜市在住の梶谷風音さん(26)は、幼少期に「産まない」ことを決めていた。
梶谷さんが疑問を抱くのは、母体保護法で定める「配偶者同意」など、国内で望まない妊娠をした女性らの意思決定が侵害されている現状だ。「私たちはもう黙らない。自分の人生を自分で決められる未来にしよう」
女性の体に生まれただけで、周囲から「母性を求められ続けてきた」と梶谷さんは憤る。学生時代に受けた性教育の授業では、排卵や月経について「母親になる準備だ」と教わり、妊娠や出産をしない将来像を他人に話すと「いつか気持ちが変わるよ」と諭されることもあった。「自分にとって自然で明確な意思決定。この国には『子どもを産まない女性』がいないことにされているみたいだ」
梶谷さんが配偶者同意について知ったのは、「性と生殖に関する健康と権利」(SRHR)関連の英語文献を読みあさっていた時だった。「中絶をするために男性の同意を得なければならないなんておかしい。国内で話題に上ることはほとんどなかったけれど、違和感があるのは私だけじゃないはず」
梶谷さんは、2021年からインターネット上で署名活動を始めた。1年ほどで配偶者同意廃止を求める賛同者から約8万筆を集め、厚生労働省に提出した。今も署名を続けながら国内外の情報を翻訳、発信するなど幅を広げている。
法的に正しくないやり方で…
人工妊娠中絶と自己決定権 産まない権利「もう黙らない」
院内集会で配偶者同意の廃止を求めて国へ訴える梶谷さん=11月14日、東京・永田町の参議院議員会館 [写真番号:1127334]
緊急避妊薬を薬局でプロジェクト共同代表の福田和子さん=10月7日、東京都 [写真番号:1127335]