
出生時の戸籍上の性別と、自認する性が異なるトランスジェンダーは、周囲の無理解から特有の生きづらさを抱えやすい。女性として生まれ、男性を自認する浅沼智也さん(33)もその一人。「『生きることを諦めないでいい社会』にするため、一緒に行動してほしい」。この夏、横須賀で開かれたゲイ男性のコンテストに出場し、参加者らにそう呼びかけた。不平等な社会に絶望し、命を落とした仲間の思いも胸に。
8月6日午後。横須賀芸術劇場(横須賀市)の壇上に、浅沼さんの姿があった。800人の聴衆を前に、「ミスター・ゲイ・ジャパン」のファイナリストの一人としてマイクを握った。
「僕は物心ついた時から、女性であることにすごく違和感がありました」
違和感の正体が何なのか、当初は分からなかった。ただ一人、苦しみ、何度も「消えたい」と思った。
初めてのカミングアウト
【ひとすじ】命と尊厳 守るために 世の変化信じて続ける
「ミスター・ゲイ・ジャパン」でスピーチする浅沼智也さん=横須賀市(ミス・グランド・ジャパン提供) [写真番号:1122673]