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「お墓も多様性受け入れ」小田原の異色僧侶、樹木葬で再興

社会 | 神奈川新聞 | 2022年8月22日(月) 05:30

 少子高齢化や核家族化で樹木葬への関心が高まる中、小田原城に近い「願修寺」(小田原市城山)が境内の墓地を丸ごと樹木葬専用の庭園墓地に改装した。住職は岩山レオ知実さん(36)。ドイツ人とのハーフで、檀家(だんか)はわずか2軒という“経営難”にあえぐ古刹(こさつ)の再興に奔走している。説く教えは禅宗でも、墓の供養は宗教不問、ペット同伴、お一人様でも可─。岩山さんは「極楽浄土への入り口は誰にでも開かれている。多様性を受け入れるお墓にしたい」と呼びかける。

赤字の寺院を経営再建

最大500人以上が埋葬できる樹木葬用の庭園墓地で読経する願修寺の岩山レオ知実住職=小田原市城山

 岩山さんはドイツ人の父と日本人の母との間に生まれ、幼少期をドイツ・デュッセルドルフで過ごした。日本文化に興味があった父の影響で高校生の夏休みに来日。2カ月間、禅寺にこもって修行したことが仏門を志すきっかけになった。「ドイツにいても日本にいても外国人で心のよりどころがなかった。でもそれが禅によって解き放たれた」

 日本の大学に通い、卒業後に6年間、静岡県内の禅寺で修行を積んだ。修行を終える頃に「就職先」として知人から紹介されたのが住職不在の願修寺だった。

 室町時代の1407年に臨済宗に改宗。戦国時代に上杉家の小田原攻めで焼かれ、小田原北条家4代目氏政の手により再興したという由緒ある寺だが、近年は檀家もほとんどおらず、長らく実質的な管理者のいない空き寺となっていた。

 岩山さんが紹介を受けた時点で築90年の本堂はわずか8畳しかなく、墓地も荒れ放題で収入は全くのゼロどころか赤字だった。それでも「出家してすぐに一つの寺を経営できるのはぜいたく」との思いで、2016年に住職を引き受けた。

 その後、「座禅は心の筋トレ。座禅で体と心を整えれば幸せは自然とわき上がってくる」として、企業研修に座禅を採り入れる「フライング・モンク」を20年に立ち上げたほか、21年からは小田原城で観光客向けの体験プログラムをスタートさせるなど、経営の立て直しに奔走してきた。

生まれ変わる禅寺 アパート併設へ

2019年から樹木葬の「フレグランス墓地」を整備した願修寺の岩山レオ知実住職

 荒れ果てた墓の整備にも着手し、花壇でペットと一緒に埋葬できる樹木葬の「フレグランス墓地」を売り出したところ、管理不要の永代供養の手軽さもあってか80区画を完売。さらに残りの墓地も含めて約300平方メートルにモミジなどの苗木を植え、約300家族が眠ることのできる樹木葬専用の「小田原の森」をオープンした。

 庭園整備に協力したコンサルタント会社「366」の伊藤照男社長は「一族の墓を受け継ぐライフスタイルが変わり、今や新規墓地の購入者の4割が樹木葬。信頼できる宗教者がいることもセールスポイントになる」と太鼓判を押す。

 現在は本堂も建て替え中で、来春には賃貸アパートを併設した新たな禅寺に生まれ変わる。「亡くなった人を思い続けるのは仏教でもほかの宗教でも変わらない。自分の根底にあるのは人類を良くしたいという思い」。異色の僧侶が挑戦を続けている。(深沢 剛)

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