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#あちこちのすずさん
「名前は『みどり』がいいね」戦死の父から命名はがき

社会 | 神奈川新聞 | 2022年8月17日(水) 11:00

(男性・76歳)

 私は妻と1970年に結婚した。交際中にそれぞれの家族の話になり、私が「郷里は島根県。父母は半農半漁で生計を立てている」と言うと、彼女は「横浜で母と兄と祖父母が豆腐製造業を営んでいる」と言った。

 妻は44年4月生まれ。父親は茨城県の陸軍にいて、母親が娘の誕生を知らせると、「名前は『みどり』がいいね」と書かれたはがきが届いた。ただわが子(妻)を見ることなくマリアナ沖海戦に参加し、その年の6月、南の海に散った。 

 この話を聞いた私は、「私の父も中国大陸で重傷を負い、帰還して闘病生活を送った」と話した。ただ、幼い私が父に抱かれて泳ぎを教わったり、花火や祭りに連れて行ってもらったりしたとは話すことができなかった。

 年月がたち、家族と一緒に海に行って「おじいちゃんは泳ぎが上手だね」という孫に、「小さい頃、父さんに教えてもらったからね」。皆が笑顔で「へぇ、そうだったの」と返してくれる。

 命名のはがきは今も大切に保管している。もちろん妻の名前は「みどり」だ。


 戦時下の日常を生きる女性を描いたアニメ映画「この世界の片隅に」(2016年)の主人公、すずさんのような人たちを探し、つなげていく「#あちこちのすずさん」キャンペーン。読者から寄せられた戦争体験のエピソードを、ことしも紹介していきます。

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