
2016年に泉署地域課の男性巡査(25)が署内のトイレで拳銃自殺したのは、上司の厳しい指導に悩んでいた巡査の精神状態を考慮せず、拳銃を貸与した県警の対応に安全配慮義務違反があったためとして、両親が県に損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁(小西洋裁判長)は29日、県警の過失を認め、請求通り計約5500万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。
判決は、亡くなった男性巡査が16年1月以降、仕事の悩みを積み重ね、同3月6日には交番勤務ができなくなるほど落ち込み、仕事を辞めるか考えるほど追い込まれて精神に不調をきたしていたと認定。「少なくとも精神疾患の疑いが認められる」とした。
また、巡査が亡くなった同月12日に出勤する際、改めて事情を確認せず、巡査の不調が解消したと即断して拳銃を貸与したとして、「巡査に生命や健康の危険が生じる恐れがないと確認すべきだったのに、その義務を怠った」などとして、県警の過失を認めた。
県警監察官室は「当方の主張が認められず残念。今後の対応については判決内容を十分に検討し、関係部署と協議の上、適切に対応する」とコメントした。
母親、判決言い渡され嗚咽
警察官拳銃自殺で全額賠償命令 横浜地裁、県警の過失認定
横浜地裁 [写真番号:1103652]
巡査の遺影とともに、判決後に思いを語った両親=29日午後、横浜市中区 [写真番号:1103653]