運動部活動が過渡期の真っただ中にある。長く日本のスポーツ普及を下支えし、子どもたちの人格形成を担ってきた一方、教員の長時間勤務の温床とされてきた。校外への指導委託が検討されるなか、教育現場や家庭には戸惑いも広がる。改めて見つめたい。「ブカツ」って、何だろう─。(「部活動は今」取材班)

パスを呼ぶ声に、小気味よくシューズの靴音が重なる。放課後の体育館に広がるありふれた日常の風景。だがそこに教員はいない。
県立高浜高校男子バスケットボール部は2018年度から部活動指導員を採用している。「学校生活のわずかな息抜きの時間でもある。試合の結果より、仲間と過ごした日々が楽しかったなと思える環境をつくりたい」。蓑島敬さん(69)が手を差し伸べたのは、顧問のなり手がいない窮状を聞いたからだった。
教員と同程度の権限
神奈川の部活動は今 疲弊する教育現場、外部指導員に活路
蓑島さんの指導の下、競技の楽しさをかみ締めつつ上位進出を目指している=平塚市の県立高浜高校 [写真番号:1087140]