運動部活動が過渡期の真っただ中にある。長く日本のスポーツ普及を下支えし、子どもたちの人格形成を担ってきた一方、教員の長時間勤務の温床とされてきた。校外への指導委託が検討されるなか、教育現場や家庭には戸惑いも広がる。改めて見つめたい。「ブカツ」って、何だろう─。(「部活動は今」取材班)

優勝争いには絡めず、10位でフィニッシュ。でも、どこか誇らしい。「1年かかってやっとです」。県立神奈川工業高校の引馬悠希選手(機械科2年)は晴れやかな表情を見せた。
4月24日、静岡県伊豆市で行われた県高校総合体育大会の自転車競技ロードレース。人知れぬ戦いを乗り越え、ようやく立ったスタートラインだった。
中学時代から地元のクラブチームで脚力を磨いた。ただ、進路選択では少し悩んだ。横浜市内の公立校で実質的に活動しているのは県立保土ケ谷高校のみ。私学も活動休止が相次いでいた。「就職とかも考えたら神奈川工業かな」。無事合格しても自転車競技部はない。出場できる大会は限られていた。
季節は2度目の春に
神奈川の部活動は今 担い手不足も顧問なくして成り立たず
県高校総体に出場した引馬選手(右)。念願のレースだった=4月、静岡県伊豆市 [写真番号:1087005]
秦野市の実証実験で中学サッカー部の休日練習で指導する松尾さん(左から2人目)=3月27日、市立東中 [写真番号:1087006]