「身体・知的障害者はバス運賃が割引されるのに、いつも乗る路線バスでは精神障害者だけ割引されません。なぜでしょうか」。愛川町に住む60代の会社員女性から「追う! マイ・カナガワ」取材班にこんな声が寄せられた。身体・知的障害者と同様に、精神障害者にも手帳が発行され、さまざまな支援が受けられるはずだが…。
重要な交通手段なのに
女性は約30年前から家族の介護をきっかけにうつ病を患い、現在はストレス障害があるという。20年ほど前に車の運転が怖くなり、免許を返納。同時に精神障害者保健福祉手帳を取得し、現在も通院などで県央地区の路線バスを利用している。
女性は「以前は閉所恐怖症もあり、混雑したバスが苦痛で途中下車して乗り直すこともあった。運賃が高くつくので、1日乗車券を使うなど工夫していました」と苦労を明かす。
運転免許を返納した理由も、うつ病の薬の影響で眠くなり「事故が心配だったから」。精神障害者手帳を持つ人の中にはてんかんなどで運転できない人もおり、バスは重要な交通手段の一つとなっている。女性は「つらい思いをしてバスに乗る人の気持ちを分かってほしい。3障害を平等にしてほしいです」と訴える。
県や県バス協会に聞いてみると、独自の助成制度がある横浜、川崎市以外の地域では、路線バス19事業者のうち、県西部を走る4社を除き、精神障害者への割引はないという。
ただ調べてみると、東京や埼玉、静岡など近隣都県では多くのバス会社が割引しているようだ。なぜ対応に違いがあるのか、事情を探った。
神奈川県に尋ねると
精神障害者のバス割引(上)神奈川、なぜ多い「対象外」
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横浜市内を走るバスと、県が発行する精神障害者保健福祉手帳のコラージュ。県内では多くのバス会社が精神障害者割引を実施していない [写真番号:1021064]