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追う!マイ・カナガワ パートナー紙から 河北新報
妻からのDVに手詰まり感 「男だから」支援なく

社会 | 神奈川新聞 | 2022年2月17日(木) 09:00

 妻からのドメスティックバイオレンス(DV)に悩んでいるという夫からの声が河北新報のオンデマンド調査報道「読者とともに 特別報道室」に届いた。相談機関に苦境を説明しても寄り添ってもらえず、手詰まり状態に追い込まれているという。男性のDV被害は潜在化しやすく、専門家は相談体制の充実を求めている。

妻からのDV被害を語る男性

 「妻からは日々、罵詈(ばり)雑言を浴びせられ、私は耐えなければならなかった」。仙台市の50代男性は、妻からのDV被害の実態を切々と打ち明けた。

 20年ほど前に結婚した。妻の態度が一変したのは結婚後1年ほどたった頃だった。「住家が大手メーカー施工ではない」「車が輸入車でない」といった愚痴を言い始め、子どもの前で「能なし」「くず」などとののしるようになった。

 暴力は次第にエスカレート。箸置きを投げ付けられたり、みそ汁をかけられたりしたことも。昨年5月、激高した妻から物を投げ付けられ、リビングのガラスが割れた。駆け付けた警察官から勧められて家を出た。

 以来、実家で生活するが、手狭なため時々ホテルや車で寝泊まりする。「行政に相談しても『働いているなら離婚して、自分でアパートを借りればいい』と言われる。私が男だからか寄り添った対応をしてくれない」と苦しそうに語る。

 警察庁によると、2020年に全国の警察が相談を受けるなどしたDV事案は8万2643件。うち被害者が男性のケースは1万9478件(23・6%)に上り、この5年で2倍近く増えた。

 殴る蹴るといった身体的暴力以上に目立つのが、精神的暴力だ。06年から男性相談を受け付ける神奈川県によると、「性格が悪い。育てた親も悪い」と本人や親の人格を否定するような暴言を吐かれたり「収入が少ない」と残業やアルバイトを強いられたりするケースが見られる。

 一方で、男性が周囲に被害を打ち明けるケースは少ないという指摘もある。東京のNPO法人「OVA」の調査によると、DV被害を受けた女性の24・5%が身近な人に相談するのに対し、男性は9・9%にとどまった。

 相談しない理由として「自分にも悪いところがある」を挙げる人が多かった。DVは「男性から女性への暴力」という意識が浸透し、自身が受けている行為をDVと認識せず、弱音を吐くことを恥ずかしく思い、打ち明けない男性が多い可能性もある。

 相談窓口のホームページに男性も相談できることを表記している機関が少なく、相談機関を載せたリーフレットの多くが女性向けに作られていることも、男性相談が少ない一因とみられる。

 DV支援などに取り組む日本家族再生センター(京都)の味沢道明所長は「DV被害に悩む男性がいることを、行政もメディアも真剣に考えてこなかった。行政は被害男性の苦境に寄り添い、弱音を吐いてもいいという環境をつくる必要がある」と話す。

(河北新報社)

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