「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録を巡り、「政権の歴史認識」を発信するという「歴史戦」が浮上している。米モンタナ州立大准教授の山口智美さんは、実際に米国で日本政府や日本の市民団体などによる、そうした活動の一端に直面してきた。文化人類学、フェミニズムを専門とし、旧日本軍「慰安婦」問題を中心に官民による歴史修正の動きを研究する山口さんに、「歴史戦」の様相を聞いた。(柏尾 安希子)

-「歴史戦」という言葉が公然と報道されている。
「『歴史戦』は、2015年ごろから事実上の国家方針状態だった。米国でも特に『慰安婦』の像や碑の設置を巡り政府が動いた。サンフランシスコ市では同年、碑の設置を決議した市議会の公聴会で、証言に立った元『慰安婦』の面前で『信用できない』と発言したロサンゼルス近郊に在住する反対派の目良浩一氏(『歴史の真実を求める世界連合会〈GAHT〉』)が市議に『恥を知れ』と非難され話題になったが、日本政府も日系人運営の団体に圧力をかけたと複数の証言がある。その頃から政府の立場は変わらない」
-これまでの流れは。