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追う!マイ・カナガワ
自宅療養 神奈川5万人 食事・仕事・病状は 不安と混乱

社会 | 神奈川新聞 | 2022年2月4日(金) 05:00

厚木市内の自宅で療養する女性のもとに届いた食料品。地元沖縄の友人がゆかりの食材を送ってくれた=2日(女性提供)

 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染拡大で、自宅療養者の急増に歯止めがかからない。県内でも2日時点で5万人を突破しており、「追う! マイ・カナガワ」取材班にも当事者からの投稿が相次いでいる。

 自宅で不安な気持ちを抱える療養者が増える一方、これまでとは桁違いの患者への対応に追われる行政や医療従事者らも混乱しているようだ。(清水嘉寛、山本昭子)

SOS「家族全員陽性」

 「家族全員陽性。配食サービスも受けられず、もう食材もなくなりそうです」。厚木市在住の女性(58)は1月31日、マイカナの投稿欄にSOSを発信した。

 夫(63)と長男(37)も含めた家族3人の感染がそろって発覚。検査で自身の陽性が判明した同28日、県に配食サービスを依頼したが電話口で男性担当者は口ごもった。

 「(依頼が殺到し)すぐにご用意できません。いつお届けできるか…。到着までお待ち下さい」。買い物にも出掛けられない中、カレーライスを作り置きして何食にも分けたり、パンを焼いたりして1週間近く食べつないだ。

 感染の事実を近所の知人に打ち明けることにはためらいがあった。あと数日で食材が底を突きそうになり、出身地の沖縄県の友人に「感染しちゃった」とLINEを送った。「食料の用意は大丈夫? すぐに送るから」。今月2日に加工食品などが届いた。遠方からの助け船を受けて、療養明けまでやりくりする見通しが立ったという。

 保健所業務も逼迫(ひっぱく)する中、最初の健康観察の連絡が女性に届いたのは、陽性判明から1週間後のことだったという。女性は「自己責任の範囲があまりに広いと感じるけど、この状況なら仕方がないと思うしかない。自然災害と同じと捉えて、事前の備えで自分の身を守るしかない」と諦め半分に語る。

陰性証明の費用は折半

 マイカナには、自宅療養を何とか耐えた末、ようやく職場復帰する際にトラブルが生じたという声も寄せられた。横浜市のパート女性は、発症から10日間の療養期間から明け、1月半ばに職場復帰するつもりだった。ただ、会社からは「今月いっぱいは来ないで」と一方的に出勤停止を命じられ、復帰の条件としてPCR検査の陰性証明を求められた。

 国などは、療養後の陰性確認のための検査を義務付けてはいないが、都内の業者で約1万円を支払い、検査を受けた。費用は勤め先との折半となり、「ここまで負担をかけられるのはおかしな話」と心にモヤモヤを残したまま職場に復帰することになった。

支援の現場も対応苦慮

自宅・宿泊療養者向けに県が発行したしおり

 県内で5万人超まで膨らんだ自宅療養者が不安を募らせる一方、そのサポートに回る医療現場へのしわ寄せも大きくなっている。

 藤沢市のあるクリニックでは第6波となって以降、1日20~30件ものPCR検査に追われている。その数は昨夏の第5波のピークと比べて2~3倍に上る。検査した半数ほどが陽性と判明しており、男性院長(61)は「感染者数に検査数が追い付いていない」ことを実感している。

 10人足らずのスタッフで診察などのケアに奔走しているが、「一般の患者さんを1~2時間待たせてしまい、負担をかけている」と窮状に頭を抱える。

 PCR検査の急激な需要増による「検査の目詰まり」も悩みの種だ。今は検査実施後、検体を業者に送って結果判明まで5日間ほどかかり、「結果が分かる頃には隔離がほとんど終わっていることもある」。

 結果を待つ不安や焦りから、患者がクリニックに電話することで応対にさらに人手を割かれる状況が続くが、院長は「負担ではあるが、その電話で患者の健康状態を確認できる」と前向きに捉えた。

つらいときは我慢せず

 湘南地区の自宅療養者をケアする訪問看護ステーションの女性管理者(57)も「保健所の業務逼迫(ひっぱく)が影響してコロナ患者の情報が錯綜(さくそう)している」と明かす。

 ステーションでは、自治体の依頼に応じて、入院には至らない範囲でリスクを抱える療養者のケアや、健康観察に応答しない人の安否を確認している。

 ただ、「安否確認に応じない」との依頼を受けて療養者の自宅に急行したが既に入院していたケースや、「状態が芳しくない」との情報を受けて駆け付けると、元気な姿でいたことも。

 自治体から事業を受託した際、「自宅療養者や濃厚接触者が無断で外出したり、買い物に出掛けるケースが後を絶たない」との説明を受けたが、苦しむ感染者をケアする立場で見聞きする実態は少し異なるという。女性は「オミクロン株は重症化しにくいかもしれないが、苦しい思いをしている療養者もいる。入院したくても諦めている患者はたくさんいる。つらいときは我慢せず、誰かにSOSを発信してほしい」と訴えた。

取材班から

 自宅療養を巡る問題について県に聞くと、PCR検査の結果判明の遅れや、保健所から患者への健康観察などの連絡が滞っていることを認めた上で、「検査後から結果が判明する期間は自主的に自宅で待機してほしい」「連絡が届かない場合は県療養サポート窓口まで電話を」と呼び掛けた。

 他県では第6波で感染した自宅療養者が亡くなった事例もあるだけに、孤立解消に向けた施策が欠かせないと感じる。(清水 嘉寛)


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