
ジャーナリスト伊藤詩織さん(32)が性暴力で身体的、精神的苦痛を受けたとして、元TBS記者山口敬之さん(55)に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は25日、一審東京地裁判決と同様に「同意がないのに行為に及んだ」と認め、山口さんに332万円余りの支払いを命じた。
一方、伊藤さんが被害を告白した著書などで、山口さんに薬物を使われた可能性があると記したことには「真実性が認められず、名誉毀損(きそん)に当たる」と判断。1億3千万円の損害賠償を求めた山口さんの訴えを一部認め、伊藤さんに55万円の支払いを命じた。一審判決は「名誉毀損に当たらない」と退けていた。
山口さんは「合意があった」と主張したが、中山孝雄裁判長は、伊藤さんの性被害の供述は「信用できる」と指摘。2人の関係が仕事上のものにすぎず「性行為が想定されるような親密な関係は認められない」とした。その上で「伊藤さんが意識を失っている中、性行為を始めたと認めざるを得ない」と判断した。
「声はどこかに届く」
判決文には事実認定された同意なき性行為、つまり卑劣な性暴力の状況が並んだ。