「バス停が片側だけ廃止される、と聞いて困っています」。職場近くのバス停が存続の危機という横浜市の女性から11月下旬、「追う! マイ・カナガワ取材班」に相談が寄せられた。取材を進めると、住民や利用者、バス会社とも「バス停は必要」との思いなのに、廃止の検討が進んでいる奇妙な事実が浮かび上がった。
横浜市中区の山手地区。急な坂を上っていくと、瀟洒(しょうしゃ)な住宅や教会、学校、洋館などが並び、観光スポットでもある地域に渦中のバス停があった。
バスを待つ地元の人に声を掛けると、何十年も前からあるバス停のようだ。近くに住む女性(88)は「どうか廃止を見直してほしい」と懇願した。運転免許を8年前に返納し、買い物や94歳の夫の通院で週に何度もバス停を利用するという。