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戦後引き揚げ者の預かり通貨証券、横浜税関で朽ちゆく封筒

社会 | 神奈川新聞 | 2016年9月28日(水) 11:39

引き揚げ者の通貨・証券などの保管庫で、傷みが進む封筒を示す横浜税関の担当者=横浜第一港湾合同庁舎

 戦後71年がたち、海外からの引き揚げ者が横浜税関に預けた通貨や証券などを入れた封筒が朽ち始めている。新たな封筒に移し替えて整理を進めることで、返還を求める本人や家族からの問い合わせに迅速に応えたいとしている。

 横浜第一港湾合同庁舎(横浜市中区)の保管庫が27日、報道関係者に公開された。旧日本軍の占領地で使用された通貨のほか、郵政儲金(ちょきん)簿(郵便貯金簿)、満州興業銀行が発行した満州儲蓄(ちょちく)債券などが、引き揚げた地域ごとに氏名順に保管されている。棚には封筒が束ねられた状態で置かれており、封筒の一部は傷みが進んでいた。

保管している紙幣を虫干しする横浜税関職員=2015年、横浜市中区

 8月15日の終戦記念日を前に毎夏、紙幣などの虫干しを行ってきたが今年は中止。封筒を移し替える作業を急ぎ、本年度内に整理を終わらせる。

 連合国軍総司令部(GHQ)の指令を受け、横浜税関は国内持ち込みが禁止された通貨や証券などを保管し、輸出入制限が解除された1953年から返還している。これまでに約5万人分、約23万点が返還されたが、約13万人分、約60万点が残されたままだ。

郵政儲金簿(郵便貯金簿)の「預かり証」の一例(左下)

 戦後70年の節目だった昨年は例年より多い449人から照会があり、126人に計943点を返還。今年は8月末までに60人から照会があり、13人に計73点を返還した。引き取り数は減少傾向にあるとして、返還の手掛かりとなる「預かり証」を公開した。

 税関相談官室の田吉真人室長は「封筒の中身は細心の注意を払って保管している。本人または家族であることを確認できれば返還できる。預かり証などを見つけた際には問い合わせてほしい」と話している。

 
 

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