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追う!マイ・カナガワ パートナー紙から 信濃毎日新聞
道端で、畑で、庭先で… 猫も見つけた「幻のヘビ」

社会 | 神奈川新聞 | 2021年11月13日(土) 06:15

 夜行性で人目に触れることが少なく「幻のヘビ」とも称されるシロマダラを捕獲した─との記事が、信濃毎日新聞の地域面に相次いで掲載された。だが、同紙のオンデマンド調査報道「声のチカラ」(コエチカ)取材班には「自分も捕まえた」との情報が他にも。本当に「幻」なのか─。

生け捕りにしたシロマダラをバケツに入れた古川さん=9月24日、長野市七二会

 9月8日付には上水内郡飯綱町の細野利男さん(75)が近所を散歩中に道端で見つけた─との記事が載った。これを読んだ長野市七二会の市臨時職員、古川福三(ふくみ)さん(77)は、自分は2日前に見つけていた─と同紙に一報を入れた。自宅近くの畑で野菜に付いたナメクジを除去していた時で「珍しいヘビだと思い、スマホで撮影した」。

 一方、同市吉の丸山保重さん(81)は同10日夜、庭先で偶然見つけ「生け捕りにした」。同市信州新町越道のグラフィックデザイナー中村晃二さん(56)も同6日夜、猫が口にくわえて自宅玄関先に持ってきたという。

 届いた写真はその都度、取材班から同市城山動物園飼育員、高田孝慈(こうじ)さん(48)に同定を依頼。いずれもシロマダラに間違いない─との回答を得た。

 そんな確認作業を繰り返していた同22日、古川さんから再び取材班に連絡があった。「昨晩、シロマダラを生け捕りにできたから今度は実物を見に来てよ」。ちょうど、飯田市千代の自営業須川英樹さん(50)が生きたまま捕獲した─との記事が同紙に載った日だった。

 「幻のヘビ」がこれほど目撃されていいのか─。目撃例は他県でも相次いでいることが分かった。9月には少なくとも群馬県太田市、兵庫県丹波篠山市、千葉県いすみ市、岐阜県美濃市、茨城県常陸太田市、神奈川県葉山町、大分県九重町で目撃され、それぞれの地方紙に掲載された。

地域の研究者が不足

 シロマダラは日本の固有種。低山地に生息し、小型のトカゲなどを食べる。長野県内では1980~90年代に東北信を中心に見つかったとの記録が残るが、宅地開発や河川改修の影響で餌が減るなどし、個体数が減っている可能性もあるとされてきた。

 高田さんは「夜行性のため、目にする機会が少なかっただけかもしれない。少なくとも長野市内には一定程度、生息していることが推測できる」と認める。

 実は、同県版レッドリスト(2015年)でも「(絶滅危惧かを)評価するだけの情報が不足している種」に分類されている。

 「希少種に関する情報は、いわゆる『在野の研究者』からの情報に支えられている」。同県環境保全研究所の主任研究員北野聡さん(54)はこう話す。水生生物が専門の北野さんは20年ほど前、希少種に関する情報の不足を補う狙いで、同県内の教師らとともにメーリングリストを作った。

 だが「在野の研究者」の代表的な存在である小中学校や高校の教師たちは学校業務が多忙化。フィールドワークに没頭する時間的余裕を失い、希少種の情報が集まりにくくなっているとの指摘があるという。

(信濃毎日新聞社)

 
 

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