「軍の恣意(しい)によって、漁師の尊い命や財産である漁船が戦争に根こそぎ持って行かれた。軍のやりたい放題だった」。戦時中の小型漁船の過酷な戦いを著書にまとめた宮城県在住の船舶・海事研究家、大内建二さん(75)は、徴用の本質をこう指摘する。
軍の求めることは絶対で、拒否するなどとんでもない-。こうした空気が社会全体を覆っていたこともあり、漁船は次々と戦地に投入されていった。
徴用は194…
漁師たちの戦争(2)安価な徴用、軍の手軽な“便利屋”に
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米軍の攻撃でひとたまりもなく破壊された黒潮部隊(第22戦隊)の漁船。操舵(そうだ)室の上に機銃が見える(写真提供、軍事史研究家・服部雅徳さん) [写真番号:893255]