特殊詐欺の検挙件数が2020年、過去最多となった。被害総額はピーク時から半減したが、依然として水準は高い。だまし取った通帳やキャッシュカードを使い荒稼ぎを狙う詐欺グループにとって、必要不可欠なのが現金を引き出す「受け子」や「出し子」だ。その末端の実態に迫る。
(公判廷供述など訴訟関係資料のほか、訴訟関係者、捜査関係者、詐欺グループ関係者への取材を基に構成しています)
川上博(28)=仮名=は、死を覚悟するほど追い詰められていた。
「もう逃げられない。死ぬしかない。あいつを殺して、俺も死ぬ…」
自ら手を染めた特殊詐欺グループから多額の現金を要求されていた。
リスクと報酬
特殊詐欺の実態(1)追い詰められていく「出し子」
-
実際に特殊詐欺で現金やキャッシュカードの受け渡しに使われた暗証番号式のコインロッカー=JR横浜駅 [写真番号:783818]
-
川上が凶器を準備し待ち伏せしたマンション=相模原市中央区 [写真番号:783823]