戦争体験の新しい伝承の手法を探るためのワークショップが21日、横浜市金沢区の関東学院大で開かれた。神奈川新聞を含む全国の地方紙とNHKなどが連携したキャンペーン企画「#あちこちのすずさん」の一環。地域の戦争史を学生が調べ、デジタルマップで成果を可視化しながら、共感を広げる手法を考えた。
「#あちこちのすずさん」は、戦時下に生きる女性を描いたアニメ映画「この世界の片隅に」(2016年公開)の主人公「すず」のような普通の生活者が送っていた日常を通じて、新しい戦争体験の継承を図る試み。
ワークショップは7月31日に続く2回目で、約20人の学生が参加した。参加者は「山手」「川崎」などのテーマ別に、地域史を取材。横浜大空襲の記憶や戦後の占領下の暮らしなどに関する調査結果を、マップツール「Stroly」で可視化し、発表し合った。
次世代に向けて戦争体験を共有する手法についても話し合われ、「(戦争に関する)地図を配ってスタンプラリーを試みる」「戦時下を生きた話を、VR(仮想現実)で見せると盛り上がるのでは」といったアイデアが出された。
参加した法学部3年の吉成隆彦さん(20)は「これまでとは違う角度から戦争を考え直す機会になった」と話していた。(高橋 融生)
「すずさん」のような戦争体験 新たな伝承手法を探る 横浜
デジタルマップを使って調査結果を発表する学生=21日、横浜市金沢区の関東学院大キャンパス [写真番号:781208]
地域史の調査結果を発表する学生たち=21日、横浜市金沢区の関東学院大キャンパス [写真番号:781219]
調査した戦争体験談の発信について意見を交わす学生=21日、横浜市金沢区の関東学院大キャンパス [写真番号:781220]