
日本軍「慰安婦」をモチーフとした「平和の少女像」や、天皇制を主題とした作品など、展示の場から排除されてきた美術作品を集め、検閲や自粛の問題を社会に問う「表現の不自由展」。この夏、東京など4カ所で計画されたが、東京展は会場がキャンセルとなり、各地でもさまざまな脅迫や妨害にさらされた。
対応に奔走した実行委員会の岡本有佳さんは、美術展すら開けない異常な状況にもかかわらず、事態に慣れ、問題視しない日本社会の姿を今、痛感する。
「私たちに落ち度があるのか。悪いことをやっているのか。そういう気にさえなってくる。周りにも『そんなに怖いことやっているから』と言われたり」。岡本さんは、こう心境を語る。
発表の場から排除された作品をテーマにした芸術展。企画が公表されると、予想を上回る執拗(しつよう)な攻撃や妨害が湧き起こった。