1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 【共に生きる】友達と一緒に学びたい

やまゆり園 事件考
【共に生きる】友達と一緒に学びたい

社会 | 神奈川新聞 | 2021年7月23日(金) 11:00

 津久井やまゆり園事件から5年。共生のあるべき形が問われ続けている。「共に生きる」とは─。


相模原市立小への就学を希望 佐野 涼将さん

毎朝、両親と共に地元の市立小学校へ向かう佐野涼将さん(左)=6月下旬、相模原市中央区

 6月下旬。陽光が降り注ぐ小学校の校舎に、子どもたちの声が響いていた。

 午前8時、佐野涼将(すずまさ)さん(8)は校門をくぐって昇降口へ向かう。「涼くん、おはよう」。ピンクのランドセルを背負った女児が近寄り、帽子をかぶった男児も駆け寄った。

 どこにでもある登校時の光景。しかし、涼将さんにとってはこれが唯一、同級生と触れ合える時間だ。数分後、再び校門から外に出て校庭に隣接する公園へ向かい、フェンス越しに校舎を見つめた。

 同級生と一緒に進学していれば、小学3年生になっているはず。「2階にあるのが3年1組。あの場所で、友達と一緒に学校生活を送れたらどんなにいいだろうって思います」。車いすの隣に寄り添う母綾乃さん(42)はそう話した。

 涼将さんは重度障害があり、人工呼吸器やチューブで胃に栄養を送る「胃ろう」をつけて生活する。小学校入学を巡っては、一貫して地元の相模原市中央区にある市立小への就学を希望しているが「現状は特別支援学校に在籍することが望ましい」とする市教育委員会と話し合いが続いており、願いはかなっていない。

 父政幸さん(44)は言う。「友達と一緒に地域の小学校に通う。そんな当たり前のことを当たり前のようにやろうとすることが、まだまだ難しいです」

指に込めた意思

 涼将さんが生まれたのは2012年11月。綾乃さんのおなかで順調に育っていたが、出産時に何らかの原因で胎盤が剥がれたことで脳にダメージが残った。

 発語はなく、感情は読み取りにくい。家族は右手の人さし指の動きで会話する。楽しいときや興奮しているときは指を盛んに動かし、緊張してるときや機嫌が良くないときは反応を示さない。かすかな動きだが「涼将の確かな意思を感じる」と綾乃さんは話す。

 そんな綾乃さん自身も、当初は涼将さんとの会話に懐疑的だったという。「家族は指を通してコミュニケーションを取っていたけれど、私は『意味があるのだろうか』と積極的になれなかった」。だが、ある日を境に変わった。

子ども同士だから

この記事は有料会員限定です。

月額980円で有料記事読み放題/100円で24時間読み放題のコースも。詳しくはこちら

相模原障害者施設殺傷に関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング