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追う!マイ・カナガワ
読者の「?」に答えたい 若手記者の思いを紹介します

社会 | 神奈川新聞 | 2021年7月5日(月) 06:30

 無料通信アプリLINE(ライン)で読者から寄せられた取材リクエストに応える「追う! マイ・カナガワ」。読者と双方向のやり取りで地域の課題を解決しようと、今年1月からスタートし、半年を迎えました。

 すでに約3500人が友だち登録。「おかしい」「なんでだろう」「これって私だけ?」と感じていたモヤモヤした情報や意見などは約750件が寄せられています。これまでに報道部や経済部、運動部、支局の18人の若手記者らが約50本を記事化し、読者の声とともに届けてきました。

 マイカナは皆さんからの声が出発点です。これからも取材リクエストや記事の感想をお待ちしています。(マイカナ取材班)


 身近な話題や暮らしの疑問、地域の困りごとなど読者からのさまざまなリクエストに応えようと、マイカナ取材班も楽しみながら奔走しています。若手記者4人が新企画への熱い思いを語りました。

報道部・清水嘉寛記者

市民の声を大事にしたい

清水嘉寛記者

 ─読者から「車内はがらがら、大丈夫?」との声を受け、横浜市営の連節バスを取材した。なぜ記事にしようと思ったのか。

 「個人的にもバスを見て車体の長さに驚いたが、実際に取材するのは意外とハードルが高い。記事にするほどのネタなのか、それがニュースなのかどうかで判断しがち。でも読者の声があることで、背中を押してもらえる。同じような気持ちの人がもっといるかもしれない、取材を頑張ってみよう、と思えた」

 ─取材して、新たな発見もあったか。

 「運転手がとても優秀で、横浜の中でもトップの22人だったり。裏話だが、九州の西鉄バスが先駆的に連節バスを走らせており、研修を受けさせてもらったらしい。実は同社と横浜市営バスはもっと前から交流があり、合同で研修などをやっていた。そういった同じバス会社同士のつながりも知れて面白かった。警察が路上駐車を取り締まれないエリアがあることも初めて知った」

 ─マイカナで本人から依頼を受け、新型コロナウイルス感染者にも取材した。

 「記事を読んでくれた人から『自分は感染しないだろうとどこかで思い込んでいたが、意識が変わった』と言ってもらえた。取材した感染者は1人暮らしの50代女性で、検査を受けてから結果が分かるまでの過ごし方にも悩んだという。そうした身の回りの疑問や困りごとから発信した記事はすごく読みやすいのでは。勇気を持って、声を上げてくれてよかった。一市民の困った声は今後も大事にしなければと思った」

 ─ほかの記者が書いた記事で面白かったものは。

 「平塚駅の『点字ブロック上に列』。スポーツ担当時代、平塚に何度も通っていたのに、気付けなかった悔しさもある。そこでアンテナを広げていたら、もっと早く書けて、悩む人も減っていたかもしれない。いつも見ているありふれた景色の中にも、ニュースが転がっているんだと感じた」


経済部・徳増瑛子記者

消費税制への疑問、認識を共有

徳増瑛子記者

 ─商品の価格表示に消費税込みの支払額を明記する「総額表示」が義務化されたが、趣旨に反したチラシに困っているという声を取り上げた。

 「もともと総額表示が始まるタイミングで、県内企業の対応をまとめた記事を経済部として書いていた。自分も最初、勘違いしていて、税込み価格の表示がメインになると思っていた。取材の中で、税抜き価格が目立っていても、よほど悪質なケースでなければ問題はなく、取り締まる基準もないと知った。それでは消費者のためになっていないのではと違和感を覚えていたところ、読者の声を聞き、自分の疑問と重なった。やっぱりそうだよなと」

 ─取材はどうだったか。

 「行政も、その視点はよく理解していた。消費者庁などのアンケートでも、ほとんどの人が税込み価格をメインにした方が分かりやすいと答えている。財務省としても、法律上は違法でないが、やっぱり本来の趣旨と反しているとの認識はあったようだ」

 ─読者の疑問には答えられたか。

 「書き切れなかったこともある。ひとつの疑問に対して、責任を財務省と消費者庁が押しつけ合っているようにも感じた。縦割り行政が問題解決を遠くしているという一面もあるのでは。記事の中では『国』という主語しかないが、背景はもっと複雑。制度を変える難しさも取材を通じて感じた」

 ─マイカナの取り組みについて思うことは。

 「記事の最後に書いたが、『消費者の訴えが広がれば事業者も変わらざるを得ない』という部分には共感している。読者からの投稿を受ける前の自分もそうだったように、ちょっと違和感があっても、簡単に流せるし、目をつぶることもできる。そうではなく、声を拾って、運動につなげる、認識を共有するという役割をマイカナは果たせると思った。問題をすくい上げる、という感覚を忘れず、大切にしたい」


秦野支局・最上翔記者

歴史をひもとき、伝える面白さ

最上翔記者(右)

 ─「大半が横浜駅まで行かないのに、なぜJR横浜線を名乗るのか」という疑問に迫った記事を書いた。なぜ取り上げようと思ったのか。

 「自分も疑問に思っていたが、沿線に住んで20年ほどたっていて、すっかり忘れていたというか、諦めていた。読者の声を受け、改めてなぜだろうという気持ちが強くなった」

 ─取材した感想は。

 「JRに聞いても、分からない、資料がないと、ないないづくしの回答だった。図書館に行き、昔の資料を引っ張り出した。大変だったというより、歴史をひもといているようで楽しかった。取材前から答えのようなものは自分の中で出ていたが、それが改めて分かり、読者に伝えることができてよかった」

 ─続編は。

「記事についてさまざまな感想をもらう中で、地元で伝わる話も教えてもらった。東神奈川に住んでいる人が、横浜線のことを八王子線と呼んでいたという話。90歳の男性から、50年近く横浜線を利用していて、乗り換えが面倒だから署名活動をしたいと思っていたというような話も聞いた。続編は色々と考えている」

 ─マイカナは読者からの反応も見えやすい。

「今担当している秦野地域では、役所を通じて感想が来ることも割と多いが、県警担当の時などはほとんどなかった。反応がもらえるのはうれしい。どんどん気軽に送ってもらえたら」

 ─学校ではコロナ禍で換気のために窓を開けているが、防寒着の着用を認めてくれないという保護者からの声を調査した西日本新聞の記事を読み、神奈川でも調べてほしいという読者の依頼にも応えた。

 「これまでほかの地方紙との関わりは少なかったが、マイカナのような調査報道を実践している各地の報道機関のネットワークに加わったことで、連携しやすくなった。他県で起こっていることが神奈川ではどうなのか、今後も調べていきたい」


編成部・矢部真太記者

ゼロから組み立てる「安全な通学路」問題

矢部真太記者(右)と投稿者の関口さん

 ─改修計画が進まず、混雑が発生している新子安歩道橋の問題に迫った。

 「取材依頼してくれた男性に話を聞き、現場に何度も足を運んで、衝撃を受けた。歩道橋には想像以上に子どもたちの大行列ができていて、保護者も毎朝数人、現場で誘導している。これは大変だと」

 ─国土交通省への取材はどうだったか。

 「警戒されていた。しゃべりませんよという雰囲気。尽力していると言うが、解決への具体策は何も言わない。入札不調が続いている原因も最初は答えてくれなかったので、建設業者や大学教授に話を聞くことにした。そこで歩道橋工事は人気がないことも知った。記事が出た後に確認したら、国交省内でも話題になったようで、前向きな動きが出そうな気配だった」

 ─ヤフーニュースで取り上げられ、記事が全国に広がった。

 「最初は地元の人や、児童の保護者らに届けばいいなと思っていた。でも各地から記事へのコメントをもらって、同じような事例が多くあると知った。兵庫県明石市の歩道橋事故に触れていたりと、家のそばの問題が、全国の人の問題意識とつながっていた。学校側がもっと通学路の整備をした方がいいとか、道路を地下に潜らせるといいとか、いろんな提案もあって勉強になった」

 ─初めて調査報道に携わり、どう感じたか。

 「以前所属した運動部時代は、活躍している選手に聞きたいことがあって取材することが多かった。調査報道では、そもそも何を誰に聞けばいいかも分からない。ゼロから始まって、パズルを組み立てていく感じが面白かった」

問題を投稿した関口さん「一人では限界だった」 新子安歩道橋」の問題を投稿してくれたのは、地元で子どもたちの見守り活動を続けている関口敬三さん(75)。「改修計画が滞り、学校や国土交通省などの関係機関に問い合わせていたが、1人ではもう限界。前に進まないと思った」。60年以上購読する本紙でマイカナが始まると知り、LINE(ライン)で窮状を訴えた。ニュースになったことで地域でも関心が高まったという。「先日も千葉で児童死傷事故が起きてしまいましたが、子どもたちに何かが起きてしまった後では遅い。地域の安全を守るためにも、地元に密着した新聞社として、身近で社会性のある問題を今後もマイカナで取り上げてほしい」

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