「出征前に撮影された家族写真が、身内の方に戻る一助を担ってもらえないか」。そんな依頼が「追う! マイ・カナガワ」取材班に届いた。
鶴岡八幡宮(鎌倉市雪ノ下)で撮られ、家族ら8人が並ぶモノクロ写真。裏側には「昭和十九年 ヒリツピンへ出征前 鎌倉 八幡宮前で」と書かれ、男性はフィリピンで戦死したとの記述も。写真を手に取材を進めた記者は、平和の尊さを実感することになった。
最初に情報を寄せてくれたのは藤沢市の男性。フェイスブックで「親族の方にお返ししたいが手立てがない」と写真の持ち主を捜す投稿を見つけたという。
記者は、写真を投稿した、都内で古物販売などを営む鎌田美和さん(47)に話を聞いた。昨秋、仕入れ後に保管していた古い切手アルバムを開けた際、1枚の写真がひらりと落ち、戦地に向かった男性の家族写真に出合ったという。
所有者が分からず「大事なものではと思い、お節介かもしれないけれど、何かできないか考えた」と鎌田さん。フェイスブックの投稿は約3千回拡散され、「家族が見つかると良いですね」などとコメントがあふれていた。記者も共感し、取材を始めた。