
化粧品会社ディーエイチシー(DHC)が公式サイトに在日コリアンを差別するヘイトスピーチを掲載し続けた問題で、公式な謝罪と再発防止を求める抗議活動が3日、東京都港区のDHC本社前で行われた。
差別文書は削除されたが「公式見解として謝罪が表明されなければ差別をやめたことにはならない」と約130人が集まり、横断幕やプラカードをかざして抗議の意思を示した。
呼び掛けたのはフリーの雑誌編集者、川名真理さん。今年1月からDHC商品の不買運動や企業に取引をやめるよう呼び掛けるデモや街宣などに取り組んできた。
包括連携協定を結ぶ自治体で見直しを検討するところが出てきたことに、「とんでもないことだというまっとうな答えがようやく聞かれるようになり、勇気づけられた」と川名さん。
この日はヘイトスピーチ解消法施行5年の節目に当たり、「確信的に差別を繰り返すDHCを変えることは難しい。変えるべきはヘイトスピーチを許してしまっている社会。解消法ができ、東京都条例もできたが、やはり罰則がないと止めることができない」と課題も口にした。
千葉県から駆け付けた在日コリアンの男性(58)は「吉田嘉明会長名のヘイト文書は在日コリアンは日本を牛耳る危険な存在と思わせるデマで、関東大震災で朝鮮人虐殺の引き金になった『井戸に毒を入れている』に重なる」と話す。「命に関わる問題なのに協定見直しを明言できない自治体も多く、最低限の社会の規範さえないことの表れだ」と危機感を募らせた。(石橋 学、視点も)