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時代の正体 表現の自由考
「狼をさがして」上映中止  映画館、圧力に屈しない

社会 | 神奈川新聞 | 2021年5月23日(日) 11:00

「狼をさがして」を上映した横浜シネマリン=15日、横浜市中区長者町

 表現の自由を脅かす圧力に、どう向き合うべきか。厚木市の映画館が右翼団体の街宣予告を受け、ドキュメンタリー映画「狼をさがして」の上映を中止した問題が波紋を広げている。

 「反日的」「監督が韓国人」といった理由で繰り返される抗議活動。一方で横浜市の映画館は中止要求に屈せず、上映を続けた。圧力に直面する関係者の思いとは、映画館が果たすべき役割とは─。

 映画は1974年、日本帝国主義の打倒を掲げ、東京・丸の内の三菱重工本社ビルなどで無差別爆弾テロを起こした若者たちの家族や支援者の証言をたどる。

 メンバーは「東アジア反日武装戦線“狼”」と名乗り、戦後の繁栄は朝鮮や台湾、東南アジアなどを植民地として侵略した上に成り立っているとして、日本の加害責任を社会に訴えようとした。

 しかし、彼らもビル爆破によって8人を死亡、約380人を負傷させ、皮肉にも加害者となり自身の罪に向き合う。韓国のキム・ミレ監督が淡々と事実をつなぎ、加害の立場から問われた「反日」思想を丹念に追った作品だ。

 「あつぎのえいがかんkiki」(厚木市)は今月8日の公開を予定していたところ、右翼団体が周辺で街宣活動を行うとの連絡が厚木署にあった。一方、4月24日から上映中の横浜シネマリン(横浜市中区)では、街宣車が周辺で上映中止を連呼。構成員とみられる2人組が館内に立ち入り、「厚木が中止したのに、なんで中止しないんだ」と長時間にわたり館長との面会を要求した。

 関係者によると、大音量による街宣は「監督が韓国人だ」とした上で、「爆弾テロを繰り返した東アジア反日武装戦線による資金集めの上映」「企業爆破事件などを実行したグループの活動を容認する内容」などと批判。「上映を続けるのは許されない」と脅迫めいた発言もあったという。

刑事告訴も視野に

 こうした主張に対し、映画館や配給会社側は「映画は反省の念を抱く人たちのインタビューがほとんどで、批判は的外れ」「本当に作品を見たのか」と反論するが、上映継続を巡る劇場の判断は分かれた。

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