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追う!マイ・カナガワ
横浜駅まで行かない横浜線(上)東神奈川駅の朝、まるで苦行

社会 | 神奈川新聞 | 2021年5月16日(日) 05:30

 東神奈川駅(横浜市神奈川区)と八王子駅(東京都八王子市)を結ぶJR横浜線はなぜ、その大半が横浜駅まで行かないのに横浜線を名乗るのか? 長年の利用者という相模原市在住の男性会社員(35)から「追う! マイ・カナガワ」に“怒り”が寄せられた。通勤通学で横浜方面へ向かう際、一つ手前の東神奈川駅で乗り換えの憂き目に遭った人は数多いはず。昨年末まで東京都町田市在住で、横浜線を使って関内駅(横浜市中区)まで通勤していた記者もそう思っていた。「なぜ、東神奈川行きなのに横浜線なの?」(最上 翔)


実に90年前から

横浜線の「起点」、東神奈川行きの案内を示す、車体側面の行き先案内表示器=大口駅

 平日朝の東神奈川駅3・4番線ホーム。東神奈川止まりの横浜線の電車が到着するや否や、乗客は混雑するホームを縫って、階段やエスカレーターを駆け上がる。その多くは、反対側の1・2番線ホームに止まる横浜方面の京浜東北線を目指す。毎朝、これを繰り返すのは大変だろう。

 平日の始発から午前9時の間、横浜線の東神奈川駅に到着する上り電車は36本あるが、横浜駅へ直通して桜木町や大船まで行く電車はわずか11本。残りは全て東神奈川止まりで、3分の2が直通する日中の時間帯とは対照的だ。夕方には八王子方面行きで同じことが起き、多くが東神奈川始発となる。

 記者自身は職業柄、朝のラッシュはほぼ未経験だが、利用者はどんな思いなのだろう。もっと横浜方面へ直通する電車が多ければいいのに…。これじゃ、横浜線ではなく東神奈川線じゃないか…。毎朝イライラしているという投稿を寄せた男性は「リニア中央新幹線の橋本駅が開業すれば、横浜駅まで全線直通するのでは」と淡い期待を寄せる。

 資料をひもとくと、横浜線の横浜駅への一部直通運転が始まったのは約90年前であることが分かった。いまだに全ての電車の直通が実現しないのはなぜなのか。

「ドル箱」京浜東北を優先

 〈多年の宿望、省線電車開通、愈々(いよいよ)けふから〉

 〈電化実現の日、沿線歓呼溢(あふ)る〉

 横浜貿易新報(現神奈川新聞)の1932(昭和7)年10月1、2日の紙面は、蒸気機関車だった横浜線の原町田(現町田)-東神奈川間が電化され、京浜線(現京浜東北線)の桜木町駅まで乗り入れが実現し、一部が直通運転を始めたことを報じている。

 喜びの声や、そこに至るまでの住民の努力を伝える記事を読むと、沿線住民が当時から乗り換えなしで横浜方面へ行くことを熱望していたことがうかがえる。

 ただ、あくまでも直通は一部。そして、その構図が昭和、平成を経て、令和に至るまで続いているのだ。

 記者は、横浜駅に隣接するJR東日本横浜支社に向かった。

 「横浜線の横浜駅への直通運転を増やしてという声は多く寄せられていますね。特に朝の通勤ラッシュ帯の増便を求める声が多いです」。同支社の広報担当は記者の質問によどみなく答え、増やせない理由をこう説明した。

 「京浜東北線の本数を維持する必要があり、横浜線の本数を増やすのは難しいんです」

 京浜東北線は午前7~8時の1時間に東神奈川-横浜間を14本が走り、その合間に横浜線が〝間借り〟する形で乗り入れている。京浜東北・根岸線(路線距離約80キロ)の1週間の延べ利用者数は約1500万人に対し、横浜線(同約40キロ)は同約425万人。単純比較はできないが、京浜東北線がJR東日本のドル箱路線として、優先されているのは間違いなさそうだ。

 線路の増設はできないのか。広報担当は「横浜線専用の線路があればいいのかもしれませんが、そのスペースは取れないし、将来的にその予定もない」と悲しくも断言した。その上で「数は少ないですが、横浜線の直通電車は桜木町行きを磯子行きまで延ばし、利便性向上を目指しています」と付け加えるのだった。

直通運転開始初日の住民の様子を伝える1932年10月2日付の横浜貿易新報
横浜駅を出発する、横浜線の直通電車。平日や土休日の日中は約10分間隔で運転している=横浜駅

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