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時代の正体 差別のないまちへ
入管法改正反対(下) 声を上げる若者たち

社会 | 神奈川新聞 | 2021年5月12日(水) 09:00

 国会審議中の入管難民法改正法案の廃案を訴えた6日の記者会見。弁護士や作家らの他に若者たちも声を上げた。大学生などでつくる一般社団法人「Voice Up Japan」の福井周さんと都内の高校生、ヨハナさん。留学生として来日し、入管収容中にまともな医療を受けることなく亡くなったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんの不条理な死を身近なものと感じていた。

高校生・ヨハナさん「人権問題だと知って」

ヨハナさん

 父が入管の被収容者の面会ボランティアをしており、仮放免された人の保証人もしていたので入管の問題については知っていたのですが、それが人権の問題だと思い知ったのは今年になってからです。1月、カメルーン出身のマイさんという42歳の女性が亡くなりました。死因は全身に転移していた乳がん。2度にわたり収容され、ホームレス状態だったこともありました。在留資格が認められたのは亡くなられた3時間後のことでした。

 父が彼女の保証人をしていたこともあり、私は中学生のころ、仮放免中の彼女に英語を教えてもらっていました。とても優しく穏やかな人でした。胸が痛いと訴えていたにもかかわらず適切な医療を受けられなかったために亡くなりました。ショックでした。もっと早く在留資格が与えられ、治療を受けていれば生きていられたのにと思い、胸が苦しくなりました。

 入管の問題を卒論の課題に選び、知れば知るほど、どれだけひどいかが分かりました。長期にわたる収容や他の先進国に比べて極端に低い難民認定率、施設内での医療提供の不足、心理的拷問、子どもと親を引き離す。こうした問題が日本の入管システムには数え切れないほどあります。現在抱える問題を解決せず、さらに改悪されることなど許されるべきではありません。

 入管の問題については私の周りの友だちも知らない人が多い。みな外国人の友人もたくさんいるので、知ればショックを受けるはずです。ウィシュマさんの話をSNSで拡散してほしいと伝えると、私にできることがあったら教えてほしい、という声が上がります。そもそも日本語を勉強するために留学ビザで来日したウィシュマさんが亡くならなくてはならなかったということがショックです。私と同年代の人も知れば、声を上げることも多くなると思います。もっとたくさんの人に知ってほしいです。

 この問題を調べていると、報道や入管自体が使っている「イリーガル(違法)」という言葉に触れます。難民を表現するのに、そのような言葉が使われていることに疑問を持ちます。悪いことをしたわけじゃなく、迫害や暴力や家庭事情から逃れるために日本に来ただけなのに、違法という言葉を使うと「外国人」イコール「犯罪者」「悪い人」という偏見が広がってしまう。せめて「オーバーステイ(超過滞在)」という表現にするべきです。間違った言葉が差別や偏見を生んでいると思います。

「Voice Up Japan」福井周さん「多数者こそが問われる」

 これから先どんな社会をつくっていくのか、この社会のマジョリティーが問われていると思います。人と人の間に線を引き、向こう側の人は人間として扱わない。そういう社会を許すのか、ということが問われています。

 
 

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